“訴訟に強い”と言える理由不動産・建築と情報管理・不競法にも高い専門性岡本 直也 弁護士Naoya Okamoto分野がある。一つは、前代表・岡本政明弁護士が株式会社整理回収機構の不動産部統括弁護士を行っていたことから、不動産・建築の分野に強いことだ。「不動産・建築分野では、基本的なものから新規ビジネスまで、あらゆる案件に対応しています。特に当事務所は、建築紛争を解決するうえでは知見やノウハウが必要となる“専門訴訟”を手がけることができる数少ない事務所です」(岡本弁護士)。 もう一つは、人材の流動化やサイバー攻撃の激化に伴い案件も増加傾向にあるという営業秘密、競業行為、不正競争対策、情報管理等の分野で、内閣府での有識者としての説明、労働新聞での連載なども行っている。「“‘情報’分野はお金にならない”という理由で関与する弁護士が少ない時代から、特に中小企業の案件を扱う事務所がほとんどない中、クライアントのために私たちは断ることなく多くの案件に携わってきました。今は“情報”が重要な資産となる時代です。私たちが培ってきた専門性に時代が追いついてきたということですね」(岡本弁護士)。DATA89代表弁護士。08年東京大学法科大学院修了。法人理事や企業の社外取締役を歴任し、24年~株式会社ジェーソン(東証スタンダード上場)社外取締役(監査等委員)。第一東京弁護士会所属。▶法人名(所属弁護士会)弁護士法人岡本(第一東京弁護士会)▶事務所名称 岡本政明法律事務所▶所属弁護士等弁護士4名(2024年12月現在)▶沿革1992年1月事業開始(法人化前を含む)なりそうな場合には、きちんと証拠を残しておくことが求められます。証拠の作成・保全のためには、法務担当者だけではなく、あらゆる部門の担当者とコミュニケーションをとりながら検証していくことが重要ですね」。――優れた観察力が導く、裁判所を納得させる法律論 訪れる企業の中には「他事務所を頼って敗訴した一審の結果に納得がいかない」と訴えるものもあるという。逆転を願う相談が多いのは、同事務所が“訴訟に強い”と見られているからだが、その源泉を岡本弁護士は次のように分析する。 「まずは裁判に“勝つ”ことが最重要です。特に、優秀な弁護士でなければ勝てない裁判に勝つことが当事務所の誇りです。仮に“負け筋”であっても少しでも有利な和解を勝ち取る――そのためには、クライアントの主張を裁判官に納得してもらえる“法律論”として構築しなければなりません。それには、要件事実と事実認定において裁判官と同じ思考を辿る必要があります。裁判官がどこに引っかかりを感じて、どこを重視しているのか、何を見落としているのか、それらをコミュニケーションと観察を通して把握することが重要です。これらのポイントが明確になれば、それを解消するための法律論や証拠を提出して、裁判官の思考回路に納得感を与えることができます」(岡本弁護士)。 加えて、“裁判官に受け入れてもらいやすい有利な証拠を収集して戦うこと”も重要だという。「有利な証拠の収集のためには、クライアントからの提供を待っているだけではダメ」と岡本弁護士は指摘する。 「判例を丹念に調べることで導き出すこともできますし、営業担当者など現場に確認することで得られることもあります。極端な例では、クライアントの倉庫に行って関係するすべての書類を点検したこともありました」(岡本弁護士)。 クライアントの話をよく聞き、あらゆる角度から法律論を検証する。ここでもまた、“時間をかけて知恵を出す”という理念が効いているのである。 同事務所には、特に多くの実績を誇る二つの専門
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