7対 談武藤 康司 氏ContractS株式会社 COO渡邊 弘 氏株式会社BoostDraft CRO/共同創業者・弁護士岩崎 祥大 氏Lawyer’s INFO株式会社 代表取締役・弁護士/かなめ総合法律事務所 パートナー弁護士ならではのWord技!契約書審査をスピードUPさせるハック術を大公開 契約書のドラフトやレビューで重要なWordの操作について、多くの法務部員がその機能を十分に使いこなせていないと感じている。株式会社BoostDraftの渡邊弘弁護士とLawyer’s INFO株式会社の岩崎祥大弁護士は契約書審査のスピードアップに役立つWord機能の一部を紹介した。 最初に話題となったのは、複数人が修正を加えた契約書の“変更履歴”についてである。コメント者名を各担当者の名前にすると、委託先の弁護士にはどちらの当事者のコメントかわかりにくい。岩崎弁護士は、社外向けに変更履歴の名義を企業名で統一し、社内では人物を識別できるよう文字色やハイライトを使用する方法を提案した。また、変更履歴を自由に記録した後、比較版作成機能を使い、履歴を企業名で統一する方法も示された。 また、条項番号のズレを防止する方法として、自動連番機能の使用を推奨。渡邊弁護士は、自動連番が設定された他の契約書のテキストをコピーすると、連番がついた書式がすぐに使えると補足した。さらに、条項を削除した後の調整について、条項番号は残したまま条文に“意図的に削除”と記載する方法が、ファイナンス契約で許容されている技として紹介された。条項削除によって影響のある引用条文の修正に関しては、文書全体に対して“条”を検索し、引用箇所を目視で確認し修正することが重要とした。 さらに岩崎弁護士はインデントの整え方について“書式の貼り付け”の活用を紹介。インデントが設定された書式は“Alt+Ctrl+C”と“Alt+Ctrl+V”のショートカットキー、もしくはホームタブ内のハケボタンをうまく使うと簡単に反映できると解説した。 最後に両弁護士は、「Wordに習熟することで作業時間を大幅に短縮できる」と述べつつも、今回紹介したような効率化は「BoostDraft」であればもっと簡単に実現できるとし、“技”を覚えなくてもボタン操作で瞬時に自動修正される機能が便利であると語った。最新事例でわかる!現場が迷わない、契約ライフサイクルマネジメントの導入 契約ライフサイクルマネジメント(以下「CLM」)の導入について、ContractS株式会社の武藤康司氏は、自社製品による業務改善事例を紹介した。 武藤氏は、契約の個別状況が見えにくく、業務プロセスが煩雑であり、情報が散逸しているといった課題を多くの企業が抱えているとし、これを解決した事例として、人材サービスを提供する企業の業務改善を紹介した。 武藤氏によると、その企業では、契約管理の複雑さとリードタイムの長さ、手動プロセスによるミスや遅延が問題となっていたが、CLMの導入によって契約締結前後のプロセスを含めた業務全体で効率が上がり、契約書の電子化によるコスト削減も実現したという。導入当初は入力項目の不備、情報不足で差し戻しや問い合わせも頻発したが、「パイロット期間中に発生した問題をもとに、わかりやすいカスタマイズマニュアルを整備し、Contract Automation機能によりタスクの発行やプロセス分岐を自動化して、入力側の迷いを防ぐしくみを構築しました」と、ContractS社サポートによる改善策を紹介。その結果、契約審査のリードタイムが半分に短縮され、契約書の集約が進んだことでガバナンスも強化。対応漏れや遅延も大幅に減少し、電子契約率は2%から60%に向上した。また、副次的な効果として事業部との関係も改善され、収集されたデータをもとに経営会議で業務改善が議論されるようになったという。
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