Lawyers Guide 2025
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M&Aの目的を正しく理解し目的達成のために的確なDDを実施東出 大輝 弁護士Daiki Higashide提供している。 「クライアントは大企業から中小企業まで幅広く、上場企業同士の統合案件から、ベンチャー企業の買収やマイノリティ出資、事業承継に伴うM&Aなど、あらゆる形態や規模のM&A案件を手がけています。また、リファーラルで海外法律事務所の案件を受けることも珍しくなく、海外でのIPOに向けた日本子会社のデュー・ディリジェンス(DD)なども扱っています。当事務所は海外法律事務所と豊富なコネクションを築いており、国際的にも高い評価を得ていることから、海外から“飛び込み”のご相談を受けることもあります」と語るのは、入所以来、数々のM&A案件に携わっている東出大輝弁護士だ。 「案件によっては、契約書の作成のみならず、スキーム設計段階から相談に乗ったり、契約交渉に同席したりすることもあります。クライアントの目的実現のためにきめ細やかなサポートを心がけています。対象会社が中小企業やスタートアップの場合は、法務体制が整備されていないために、必要な資料の収集が困難なケースもあります。その場合には、現実的なリスクの程度を分析したうえで、たとえば株式譲渡契約(SPA)で表明保証を充実させる、あるいは補償条項を充実させる等の対処を検討することとなります」(麻生尚己弁護士)。 「近年はスタートアップ投資も増えていますが、法体系が整備されていない先端領域の企業を対象とすることも多く、専門知識のキャッチアップが欠かせません。企業がリスクとして見落としがちな点として、“法令改正への未対応”が挙げられますが、弁護士側で常に法令改正の情報を押さえておくことで、M&Aに限らずあらゆる案件でクライアントの利益を守ることにつながります」(弓場浩子弁護士)。 同事務所は渉外案件の比率が高く、全案件の4~麻生 尚己 弁護士Naoki Aso5割を占めることで知られるが、M&Aにおいてもクロスボーダー案件を数多く手がけている。M&Aは事業拡大や新規事業開拓を目指す企業にとって重要な成長戦略の一手段であり、グローバル化の進展に伴い、日本企業が海外企業を買収するアウトバウンドのM&Aは増加傾向にある。また、日本企業同士のM&Aであっても対象会社が海外子会社を有している場合、当該子会社に関するDDを実施しなければならない。その際に役立つのが、INTERLAWのネットワークだ。 「最近手がけた案件では、日本企業の中国子会社に関する調査が早急に必要となりましたが、INTERLAWに加盟している中国の事務所に依頼して迅速に英語のレポートを作成してもらうことができました。世界各地の弁護士の協力を得て迅速に対応できる体制が整っていることは当事務所の大きな強みです」(東出弁護士)。 「大規模な企業結合案件でも、海外当局への企業結合届出や企業結合審査対応等において、INTERLAWのネットワークが大いに役立っています」(弓場弁護士)。 M&Aを成功に導くには、DDを適切に実施し、リスクを漏れなく抽出することが不可欠となる。その結果は買収価格や最終契約条件の交渉にも影響を及ぼす。だがクライアントの予算が限られているケースも多く、その場合は予算との兼ね合いで調査対象(スコープ)を絞る必要がある。 「DDに関しては、網羅的な調査からスコープを絞った調査まで、個々のクライアントのご要望に応じて柔軟に対応しています。“網羅的な検討とレポート作成をお願6718年東京大学法学部卒業。19年弁護士登録(第一東京弁護士会)。20年桃尾・松尾・難波法律事務所入所。11年東京大学法学部卒業。13年同法科大学院修了。15年弁護士登録(第一東京弁護士会)。18年桃尾・松尾・難波法律事務所入所。21年コロンビア大学ロースクール卒業(LL.M.)、桃尾・松尾・難波法律事務所復帰。

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