法務・税務・財務一体をワンストップで支援アジア新興国に密なサポートを65▶所属弁護士等弁護士104名(日本法弁護士95名、外国法弁護士9名)(2024年11月現在)▶沿革 2019年1月設立▶受賞歴 Chambers、IFLR1000、The Legal 500、asialaw等の複数の外部格付け機関から高い評価を獲得取締役会に法務部長がいない企業があるということに驚かれます。弁護士や社外取締役の立場でいろいろな企業の取締役会に参加する機会がありますが、紛争対応方針決定の場面を含め、取締役会において法務部長の視点が提供されることが当たり前になると、さらに効果的な意思決定が可能になるのではないでしょうか」(緑川弁護士)。 日本企業が活発に進出するアジア市場には多様な文化、法制度、商慣習が混在し、多くの企業が進出・拡大における課題を抱えている。この課題に併走するため、三浦法律事務所はベトナムオフィスを設立。また、外資規制上、日本資本のオフィスを設立することができないインドネシアにおいては、「NARA Law in association with Miura & Partners」として現地法律事務所と提携し、拠点を構えている。また、今後はタイにもオフィスの設立を予定している。 「アジア市場は、日本や欧米とはまったく異なる特性を持っています。だからこそ、現地に根ざしたサポート体制が必要なのです」と語る井上諒一弁護士は、日本の大手法律事務所において中国とインドネシアの駐在経験を重ねたアジアビジネスのエキスパートだ。井上弁護士は三浦法律事務所参画後、2021年に他2名のファウンダーとともに「M&Pアジア株式会社」(以下「M&Pアジア」)を設立し、CEOを務めている。 M&Pアジアはアジア新興国に特化した総合コンサルティングファームで、日本企業のアジア新興国進出を支援するため、三浦法律事務所と協働して、法務、税務、財務、許認可、人事労務領域におけるワンストップソリューションを提供している。「駐在中に多くの日本企業が、法務、税務、財務の専門家の連携不足に悩んでいるのを目の当たりにしました。日本では3分野それぞれに専門事務所があり、企業が使い分けることが一般的ですが、アジア新興国ではこの領域が未分化で混沌としていることも多くあります。現地での“専門家のたらい回し”のような状況を避け、ワンストップでアドバイスを提供できる体制が必要だと感じていました」(井上弁護士)。 M&Pアジアはインドネシアとベトナムに拠点を構え、日本人コンサルタントと現地の弁護士、税理士、会計士などが協働している。定期的なミーティングで情報共有を行い、常に連携を取りながら、クライアントに最適なソリューションを提供する。 たとえばM&A案件では、三浦法律事務所が法務DDや契約書作成・交渉、クロージングサポートを行い、M&Pアジアが税務・財務DD、バリュエーション、Pre-PPA(プレ・パーチェス・プライス・アロケーション)を担当。そのうえで一元化してアドバイスを提供する。「法務DDで発見された問題点を、財務DDの結果と照らし合わせることで、実際には大きなリスクではないと判断できる場合もあります。3分野の知見を統合することで、初めて正確なリスク評価が可能になるのです。M&Aは企業にとって重要な戦略的意思決定です。私たちはクライアントの負担を軽減し、迅速な意思決定を支援して、クロージングまでをスムーズに進められるようにサポートします」(井上弁護士)。 三浦法律事務所とM&Pアジアは不正調査の対応も行っている。アジア新興国ではコンプライアンスの浸透がいまだ途上であるため、進出において現地企業の役職員の不正が発覚するリスクが高い。特に金銭にかかる不正が多く、横領等が発覚した場合には、法務・財務の知見が必要になる。「M&Pアジアが現地の会計士・税理士と協働し、銀行の取引明細や支払いに関する証拠収集などの会計財務調査を行ったうえで三浦法律事務所の弁護士が証拠を評価し、法的構成を組み立てます」(井上弁護士)。 このように、同事務所は高品質なリーガルサービスをワンストップで提供し、変化の激しい現代においてクライアントのビジネスを力強く支えている。今後の人員・組織の拡大等によりその体制はさらに強化していく予定だ。DATA
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