紛争解決の戦略的な対応を支援手続選択から費用管理までアドバイス井上 諒一 弁護士Ryoichi Inoueクになる場合もある。同事務所では適切な紛争解決手段の選択段階における助言や手続費用のコントロールなど、紛争解決手続に関するあらゆる場面での支援を行っている。 手続費用については、近時注目が集まりつつある“訴訟ファンド”についても知見を有し、その活用も支援する。“訴訟ファンド”とは、訴訟や仲裁に必要な費用を立て替える第三者機関のことである。 「日本の訴訟では基本的に弁護士費用は請求できませんが、仲裁の場合には、相手方に弁護士費用なども請求できる“コストアワード”のしくみがありますので、最終的には弁護士費用も回収することが期待できます。さらに、訴訟ファンドを活用することで、仲裁手続中も手元資金を用いることなく手続を進めることができます」(緑川弁護士)。 しかし、日本においては、訴訟ファンドのしくみやメリットはそれほど知られていない。「訴訟ファンドという選択肢があることを、もっと多くの企業に知ってほしい」と語る緑川弁護士は、10年前に勤務先のシンガポールで訴訟ファンドの合法化に関する議論を目の当たりにし、日本でもいずれ活用されるようになると確信したという。「日本企業が数百億円規模の大きな紛争を抱えた場合、弁護士費用も高額になることがありますが、訴訟ファンドを活用することで、キャッシュフローを保ったまま対応することが可能です」(緑川弁護士)。 また、同事務所は、紛争発生前の予防法務や紛争発生後の対応方針の立案など戦略面のアドバイスにも力を入れており、取締役会での意思決定支援を行うこともある。「さまざまな国の弁護士と話す中で、日本では小枝 未優 弁護士Mihiro Koeda手続に踏み出せるのではないかと考えています」(緑川弁護士)。 同事務所には国際仲裁を中心に企業合併、合弁事業、ライセンス契約、代理店契約など国際紛争案件の実績を豊富に有する小枝未優弁護士が2024年7月に参画した。小枝弁護士は国内の大手法律事務所において外国法弁護士等とチームを組成し、国際案件を多数経験。国際会議への参加、海外法律事務所とのネッの参画の背景には「国際仲裁の活用をより一層促進しす。費用倒れを懸念して依頼を諦めざるを得ない企業や、コンフリクトの問題で大手事務所に依頼できない企活用の裾野を広げたいという思いがありました」(小枝弁護士)。 国際紛争解決の領域については、2024年11月に国内外の法律事務所や国連で経験を積んだ田中太郎弁護士も参画し、さらに体制が強化されている。 同事務所に持ち込まれる国際紛争案件には大規模建設プロジェクトの最中に生じた紛争、JV(ジョイントベ紛争などさまざまだが、紛争発生に備えて紛争解決手続が適切に選択されていない場合や手続費用がネッ6413年慶應義塾大学法学部卒業。14年弁護士登録(第二東京弁護士会)。15年森・濱田松本法律事務所入所。17年同北京オフィス駐在。18年同ジャカルタデスク(AKSET Law)常駐。20年三浦法律事務所入所。21年コロンビア大学ロースクール修了(LL.M.)、M&Pアジア株式会社CEO就任。13年一橋大学法学部卒業。15年東京大学法科大学院修了。16年弁護士登録(第二東京弁護士会)、西村あさひ法律事務所入所。18~24年環太平洋法曹協会第32回年次東京大会組織委員会。19年香港国際仲裁センター仲裁人補助者研修プログラム修了。20~24年一般社団法人日本国際紛争解決センター事務局次長、ウェブ審問等検討部会委員。24年三浦法律事務所入所。日本仲裁人協会会員。環太平洋法曹協会会員。英国仲裁人協会会員。ムンバイ国際仲裁センターYoung MCIA運営委員会委員。きるようになれば、より多くの企業が安心して国際仲裁トワーク構築などにも尽力してきた。三浦法律事務所へていきたい」という願いがある。 「国際仲裁は専門性が高く、費用も高額になりがちで業も見てきました。そのような状況を変えたい、国際仲裁ンチャー)やM&A関連の紛争、一般的な契約をめぐる
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