Lawyers Guide 2025
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役職問わずフラットで活発な議論が導くハイクオリティなサービス“伝統×多様性”次のステージへ61▶所属弁護士等弁護士16名(2024年11月現在)▶沿革 2009年6月設立▶受賞歴 日本経済新聞社「企業が選ぶ「頼りがいがある法律事務所」ランキング」第8位(2022年、2023年)、第9位(2024年) 「事実関係を聴取する際には、“対象者の説明内容に矛盾点や独自の解釈が入り込んでいないか”などの見極めに特に注意しています。他の客観資料と突き合わせて確認することはもちろん、その方の置かれた立場や人間関係といった背景的なストーリーにも想像を巡らせながら丁寧に確認することが大切です。また、不祥事の原因が会社組織体制にある場合には、問題の本質を捉えた再発防止策の提言などを通じて自浄の端緒として活用していただけるように心がけています」(川﨑弁護士)。 「調査結果の認定においては、“裁判所からどのように評価されるか”を常に念頭に置いています。また、ヒアリング事項を考える際にも、そのような観点から検討しています」(水沼弁護士)。 「ヒアリング対象者の感情や正義感等による証言の歪みにも注意が必要です。安心して話してもらうために、そうした心情に寄り添いつつも、そこに乗らずに対応することを心がけています」(宮國弁護士)。 これまで見てきたハイクオリティかつスピーディなサービスを提供するために行われているのが、“役職を問わないフラットで活発な議論”と“若いアソシエイトが主体的・積極的に案件に関与するための雰囲気作り”だ。 「チームワークを大切にしながらも、パートナー・アソシエイト、期を問わず率直な意見を交わし、その結果として依頼者により有利な理論構成・主張展開を考えることに重点を置いています。また、若いうちから案件の主担当となり、パートナーと競いながら腕を磨いていくという経験がクオリティを高める源泉となります」(石鍋弁護士)。 「M&Aなどの実務経験がまだ浅い若手弁護士が大手事務所や外資系事務所を経て入所した場合でも、きちんとフォローしながら案件を進めるので、短い時間で密度の高い経験を積むことができます。近い経歴の先輩弁護士も多いため、突き放すでもなく手取り足取りでもない、適度な距離感でのフォローがあり、若手の力を伸ばすのには最適だと思います」(宮國弁護士)。 「所属弁護士の人数が少ないにもかかわらず、顧問先企業への出向制度があり、実際に私も3年間企業内の法務部員として経験を積みました。出向を通じてその企業の文化にどっぷりと浸かりながら、法務部のみならず営業部をはじめとする他部署の方とも接することで、事務所から見る景色とはまた一味違う景色が見えてきます。企業としての考え方や意思決定のフローを直接体感できたことは、帰任後にクライアントと接する場面でも大いに役立っています」(川﨑弁護士)。 顧問先企業への出向については、顧問先の法務部員の産休・育休時の代役や、リモートでの一部対応など、柔軟に行われている。クライアントのピンチへの対応とクライアントを知るチャンスのまさにWin-Winの関係だ。一人ひとりがクライアントとともに、その事業の発展のために歩める弁護士になることを目指しての若手の教育――これもまた同事務所が標榜するハイクオリティかつスピーディなサービスの源泉であると言えよう。 このように、少数精鋭を維持しながらクライアントにさまざまなサービスを提供してきた野村綜合法律事務所だが、さらに質の高いサービスをクライアントへ提供すべく、今後は緩やかにではあるが人員の拡充と規模拡大を志向している。クライアントのニーズに合った最善・最適なサービスを提供できるよう、若手弁護士はもちろんのこと、女性弁護士や経験弁護士など、多種多様なバックグラウンドを持つ弁護士を積極的に採用する方針だ。伝統を維持しながら次のステージへ向かう同事務所の今後が期待される。DATA

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