日米欧アジアを俯瞰した戦略法務藤井 康次郎 弁護士Kojiro Fujiiます。ロンドン事務所では、英国のみならず欧州全体に関するクロスボーダーM&A案件、コーポレート案件、ファイナンス案件を中心にリーガルサービスを提供していきます」(木津弁護士)。 「ブリュッセルは、欧州委員会等の重要機関を多く擁し、世界の企業動向に影響力を有する欧州規制の中心地です。その地においてEU主要機関等との情報・意見交換を通じて把握した法政策動向・ビジネスニーズ等の情報を踏まえ、ますます厳しさを増しているEU競争法および国際通商法、サステナビリティなどEU規制へのサポートのほか、ルール形成支援等の法政策業務も手がける拠点作りを目指します」(藤井弁護士)。 ロンドン、ブリュッセルの2拠点を開設することで、西村あさひが目指しているのは、同事務所全体として、特定の地域だけではなく“日米欧アジアを俯瞰した戦略法務”を、日本企業をはじめとするアジア企業に提供する体制構築だ。そのためには、まず欧州4拠点による協働が重要となる。 「M&Aに代表される企業取引において必要となる競争法上の届出やEU外国補助金規制(FSR)に基づく届出など、欧州の規制については、地の利を活かしてブリュッセル事務所が対応します。英国とEU間のM&Aでも、EU側の手続はブリュッセル事務所で連携していくことを考えています。また、フランクフルト&デュッセルドルフ事務所で大きな成果を上げているデジタル規制分野では、ドイツとブリュッセルが協働することを想定しています。さらには、4拠点での人材の交流の促進、採用の木津 嘉之 弁護士Yoshiyuki Kizu活性化など、人材面での補完関係も構築できるでしょう」(藤井弁護士)。 「フランクフルト&デュッセルドルフ事務所では、デジタル規制分野の個別具体案件の対応を多く手がけてきており、その実績は、当事務所の強みとしてご認識いただいています。今後は、欧州の規制法の中心地であるブッリュセル事務所ができることで、ルール形成支援も含めて対応できるようになりますので、さらにサービスの幅を広げていけます。人材面では、4拠点あることにより、現地弁護士のみならず、欧州に活躍の場を移したい日本法の弁護士を迎えやすくなっており、業務拡大の著しいデジタル規制の分野では採用も積極的に行っていきます」(石川弁護士)。 「クロスボーダーM&Aでは、欧州と言えども各国で法規制やマーケットスタンダードは多様なため、ヨーロッパ全体を統括的に見ることが肝要です。これは4拠点協働が効果を発揮できるポイントと言えます。一方で、欧州企業によるインバウンドM&A、欧州企業による日本向けのファイナンス、欧州スタートアップによる日本進出についても、東京オフィスと密な連携で対応します」(木津弁護士)。 「石川弁護士はデジタル規制の第一人者であり、藤井弁護士は独占禁止法および国際通商法を強みとするほか、デジタル法政策やサステナビリティ関連の公共政策業務にも精通しています。そして、木津弁護士は英国だけではなく出向経験のあるドイツ、フランスおよびイタリアを含む欧州全域の案件の経験を有し、私自身も日本企業のコーポレートおよびクロスボーダーM&A案件のほか、欧州企業の東南アジアへの事業進出についても助言を行っています。それぞれの拠点が得意とするプ55パートナー/東京。07年弁護士登録(第一東京弁護士会)。国内外のM&A案件を中心に企業法務全般に従事。日本企業およびプライベートエクイティファンドをクライアントとする欧州M&A案件に、戦略策定からPMIに至るまで数多く関与。現地経験のある英国、ドイツ、フランスおよびイタリアのみならず、スペインのリーディングファームにおける短期研修、オランダ、ポーランド等への出張も経験し、欧州全域の複数のリーディングファームとのコネクションを活かし、案件の規模に応じた効率的かつ機動的な案件対応を提供。パートナー/東京。05年弁護士登録(第一東京弁護士会)。12年ニューヨーク州弁護士登録。独占禁止法および国際通商法をはじめ、国際争訟、デジタル法政策やサステナビリティ関連の公共政策業務に精通。ChambersやAsian Legal Business等の弁護士評価誌や日本経済新聞社「最も活躍した弁護士ランキング」、Financial Times紙「Innovative Lawyers Awards Asia-Pacific」等のメディアからの受賞歴等も多数。
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