変化し続けるホスピタリティ分野を豊富な経験と新分野研究で対応需要が高まるデータセンターには新スキームの検討で資金調達を促進53▶所属弁護士等弁護士595名(日本弁護士539名、外国弁護士56名)(2024年12月現在)▶沿革 2000年1月に長島・大野法律事務所と常松簗瀬関根法律事務所が統合して設立ヘルスケアチーム不動産プラクティスチーム地の売却、店舗等のセールスアンドリースバック、私募ファンドの活用、ディベロッパーと共同での本社ビル建替共同再開発などが挙げられる。 国内企業の海外投資や海外企業の国内不動産取得などクロスボーダー案件を数多く取り扱う洞口信一郎弁護士は「工場跡地の売却では土壌汚染への対応が重要なポイントです。土壌汚染対策業者を活用した契約ストラクチャーなどを提案しています。また、煩雑な入札プロセスをすべてサポートできる点は当事務所の強みと言えます」と説明する。 また、セールスアンドリースバックを行う場合は新リース会計基準への対応、私募ファンドの活用ではファンドストラクチャーの選択、ディベロッパーと組んでの本社ビルの建替共同開発であれば再開発手法や地権者・テナント交渉が重要になるなど、アセットライト化の手法に応じて焦点となるポイントや執るべき手法は異なる。「私募ファンドについては私募REITや特定の投資家向けファンドの組成が増えています。ただ、多くの企業にとって不動産ファンド運用は未経験の領域であり、新たに金融規制への対応が必要です。体制作りなどからサポートすることも多いですね」(内海弁護士)。 同事務所は、1980年代から国際的なホテルチェーンとの契約交渉やSPC(特別目的会社)を活用したホテル開発など、ホスピタリティ分野でリーガルサービスを提供してきたパイオニア的存在でもある。「国際的なホテルオペレーターと国内オーナーとの間で、文化や商慣習の違いを橋渡しする役割も担っています」(齋藤弁護士)。 ホスピタリティ分野は単棟型のホテルだけでなく、リゾートホテルや複合施設内のホテルなど、多様な形態に対応する必要がある。「リゾートホテルでは、他のアクティビティ施設との調整が必要となります。区分所有型の複合施設内のホテルでは、オフィス床などの非ホテルとホテル床との間の責任区分を、区分所有法を踏まえて明確にする必要があります」(洞口弁護士)。 さらに、同事務所は、タイムシェア、ブランデッドレジデンス、民泊、IR、MICEなど、新しいコンセプトのプロジェクトにも積極的に取り組んでいる。「私たちは新しいビジネスモデルが登場するたびに関連する法規制を精査し、最適な法的スキームを構築することで不動産プラクティスチームのサービスの幅を拡大してきました。常に変化する市場に対応していくことは私たちの使命と言えますね」(斎藤弁護士)。 AIの実用化などを背景に、需要が増加し続けるデータセンターについても、開発・運用、投資についてアドバイスを行っている。「データセンターは単なる不動産賃貸とは異なり、サービスなどの運営能力によって価値が左右されるオペレーショナルアセットです」(内海弁護士)。 同事務所はTMK(特定目的会社)を用いたデータセンター案件にも多数関与し、竣工したデータセンターの出口戦略としてJ-REITの活用を関連団体とともに模索している。「実現できれば、投資家からの資金調達を促進し、市場のさらなる発展に貢献できます。関連団体と協力し問題点のピックアップや対応を検討するとともに、規制当局への働きかけも行う予定です」(内海弁護士)。DATA
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