Lawyers Guide 2025
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どの規模の企業でも頼りやすいよりよき相談相手を目指して事務所の理念を支える個人の尊重と柔軟な働き方43 「一桁の人数では、どうしても“代表弁護士の事務所”という体制になり、代表のカラーが色濃く、万が一の際に組織がバラバラになりがちです。案件に丁寧に取り組み、顧客から頼りにされる規模感を大事にしたいと考えた結果、統合による緩やかな業務分野の拡大と安定性の確保に至りました」(高井弁護士)。 「法律事務所の継続性は、顧客である企業とって必要な要素だと思います。特に中堅・中小企業にとっては頼りになる存在が消滅してはなりません。代表弁護士以外にも責任を持って企業を支えられる人材を各世代に育てていくことが重要だと考えています」(大宮弁護士)。 若手の人材育成には、代表をはじめとするパートナー弁護士がOJTによる指導を行い、大手法律事務所と遜色のないクオリティを提供できるようにしている。 「若手弁護士の成長を考えると、特に最初の数年は丁寧にコミットしています」(大宮弁護士)。 「“大手並みのクオリティとはどういうことか”を内部の議論も含めてきちんと見せ、修正して見せ、不明点がないかもこちらから都度声をかけて確認しています。こうしたアプローチができるよう業務量を調整している面もありますね」(高井弁護士)。 一方で「若手にはチャレンジもさせている」と語るのは大宮弁護士。「大転びしないように見守りつつ、まずは自主的に取り組むことを尊重しています。細かく指導するパートナー弁護士もいるため、チャレンジとクオリティ担保の両面が結果としてバランスしているように思います」(大宮弁護士)。 両弁護士が規模と人材の質にこだわるのは、継続性以外の要素もある。企業にとっての“よき相談相手”であることが同事務所の目的だからだ。 「新聞の一面を飾るような巨大案件ばかりを担当したいわけではありません。リーズナブルなフィーで気軽に相談できる顧問先を探している企業、“海外進出をしていきたいが経験がない”と頼ってくださる中小企業などにもサービスが行き届く事務所でありたいと思っています。ゆえに、最終的に20~30名程度となる規模感を目指すことが適切と考えています」(高井弁護士)。 「大手法律事務所時代から中堅・中小企業の再生に取り組んできましたが、経営者や担当者と“人”として密に付き合い、頼られ、結果を残して感謝されてこそだと思っています。AIの登場等で変わりゆく時代ですが、大手並みのサービスを中堅・中小企業に提供することに対する需要は、今後も根強くあると考えています」(大宮弁護士)。 同事務所では、所属弁護士が定着し、事務所経営の担い手となるように柔軟な働き方も推奨している。元レックスの弁護士が所属する紀尾井坂オフィス、元高井&パートナーズの弁護士が所属する赤坂オフィスで働き方はやや異なるが、“個人らしい働き方を尊重する”点は共通する。 「働き方に関してルールは一つである必要はありません。働く場所はリモートでも事務所でもよい。ライフスタイルの変化に応じて柔軟に、作業効率を維持できる職場環境を本人が選べばよいのです」(大宮弁護士)。 「赤坂オフィスは少なくとも週3回出勤することになっていますが、これは全員が少なくとも週1回は顔を合わせるため。互いのことをよく知り、個人・家庭の事情などを把握したうえでさりげなく配慮・尊重できる関係を保ちたいと思っています」(高井弁護士)。

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