Lawyers Guide 2025
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豊富なプロフェッショナルが連係プレーであらゆる知財問題に対処する生田 美弥子 弁護士Miyako Ikutaコミュニケーションの敷居の低さ”である。退官後の裁判官を顧問として迎える事務所は他にもあるが、同事務所はオブカウンセルを含めたどの弁護士もフラットにコミュニケーションをとり、定期的な知財に関する勉強会での情報アップデートや、グループメール上での質疑応答、案件情報のやり取りも活発で、誰に対しても気軽に意見を求めているという。 谷弁護士が「当事務所は大部屋制をとっており、みんな同じフロアで、一つの“塊”になって仕事をしているような風土です。“ちょっといいですか”という感じで、みんなが質問に来ます」と言うと、生田美弥子弁護士が「本当にどんな相談でも聞いてくださいますよ」と相槌を打つ。 加えて、同事務所では新人弁護士に入所時からできるだけ幅広い案件を経験させる方針を採用している。これは、弁護士業務の専門分化が進んでいる潮流からすると、必ずしも効率的とは言えない側面もあり、これに倣う大規模事務所は多くはないそうだが、この方針のおかげで所属弁護士の基礎能力、経験値は高い。 そのような基礎能力の高さに加えて、それぞれに得意分野を持ち、さらにパートナー間での案件の横パスも自由で、どのアソシエイトをアサインするのかも自由なのだという。具体的には、海外企業とのJV(ジョイントベンチャー)設立時、一方当事者が保有する知財をJVにライセンスするような場合には、コーポレート・知財両分野のクロスボーダーに精通するメンバーがともに冨本 晃司 弁護士Koji Tomimoto事務所には、たとえば紛争、製薬、アート、スタートアップ支援など、特化した専門性を謳うところが少なくないが、その中からコンフリクトの問題がなく、自社と相性のよいパートナーを探すのは骨が折れるものである。しかしこの点、同事務所は懐が深い。 冨本晃司弁護士は「当事務所は総合事務所として、特定の法域や業種に限定することなく対応できます。クライアント層もスタートアップから上場企業まで幅広く、日常的な知財相談から特許訴訟まで、どのような案件でも対応できる体制を整えています」と自信を見せる。 同事務所では交渉・訴訟対応のほか、予防法務相談、デューデリジェンス対応、ライセンス契約等の契約交渉などにも対応している。ただし、これは決して同事務所がどの分野も“広く浅く”対処しているという意味ではない。同事務所は、オブカウンセルとして大阪地方裁判所・大阪高等裁判所の知財部や知的財産高等裁判所で裁判長等の要職を歴任し、知財紛争案件に特に精通した小松一雄弁護士、大須賀滋弁護士、谷有恒弁護士の3名の元裁判官を擁している。彼らを含め、それぞれに得意分野を持つ弁護士が強い連係をなすことで“広く深い”リーガルサポートを実現しているのだ。また、必要に応じて国内複数のトップクラスの特許事務所とも協力できる体制があるという。 連係プレーの強固さを体現しているのが“弁護士間3111年大阪大学法学部卒業。13年京都大学法科大学院修了。14年弁護士登録(大阪弁護士会)、北浜法律事務所入所。22年 UC Berkeley School of Law 修了(LL.M. with Certificate of Specialization in Law and Technology)。米国・ドイツでの法律事務所への出向を経て、23年当事務所東京事務所復帰。25年パートナー就任。知的財産法に関する案件として、特許訴訟等の紛争対応のほか、ライセンス契約交渉、相談対応を取り扱う。そのほか、コーポレート案件、M&A、国際法務を中心に対応している。89年立命館大学法学部卒業。在学中の88年に渡仏し、92年パリ第二大学大学院DEAビジネス法、93年パリ第二大学大学院DESS工業所有権修了。94年フランス法弁護士登録、パリおよびハノイ(ベトナム)で勤務。渡米し00年Columbia Law School修了(LL.M.)。EU裁判所研修生を経て01年ニューヨーク州弁護士登録、ニューヨークで勤務。02~12年国内渉外系法律事務所で勤務(司法修習期間を除く)。10年弁護士登録(第二東京弁護士会)。12年北浜法律事務所入所。15年パートナー就任。知的財産法、個人情報保護、グローバルコンプライアンス、国際紛争解決を取扱うほか、上場企業の社外役員を務める。

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