デジタル社会の新たなリスクを踏まえマーケティング活動にも並走古川 昌平 弁護士Shohei Furukawa事務所と名古屋事務所を兼務する酒匂景範弁護士だ。酒匂弁護士によれば、海外事業所が現地当局の調査対象となる場合も多いという。「国際調査対応では、各国の法規制、当局の動向、商慣習などを理解したうえで統一的な戦略策定が重要ですが、我々は企業グループにとって最適な対応をアドバイスしサポートします。複数の当局から調査を受けるケースもありますが、統一的な戦略があれば一部を認めるか、強く争うかなどの判断がしやすくなります」(酒匂弁護士)。 企業の海外進出におけるコンプライアンスは浸透しているものの、海外当局からの調査は稀なため、対応の知見を持つ企業は少ないという。「我々はこれまで欧米だけでなく、アジア各国、中南米の当局の調査案件にも従事したことがあり、これらの案件を通じて得た経験から、競争法違反の未然防止も含めた国際的な競争法対応をサポートしたいと考えています」(酒匂弁護士)。 消費生活のデジタル化に伴い、Eコマース、電子マネー、プラットフォームビジネス等の景表法を含む消費者保護法分野のコンプライアンスへの関心が高まっている。コロナ禍を経てB to Cビジネスに参入する企業も増加した。東京事務所の古川昌平弁護士は、消費者庁出向、IT企業部分出向の経験を踏まえ、実情に沿ったアドバイスを提供している。 「消費者法の関連する案件は、以前は各弁護士が担当していました。しかし、消費者庁への出向、近年の相談の吉村 幸祐 弁護士Kosuke Yoshimura菅野 みずき 弁護士Mizuki Kanno増加や専門性の高まりを受けて、集中的に案件に関与するなどした結果、消費者法案件を多く取り扱う弁護士が生まれました。消費者法は近接分野が多いため、論点を取りまとめたうえで適切にチームで取り組む必要があります。個人情報保護法、資金決済法、割賦販売法など、さまざまな論点に目配りし、各専門弁護士に協力を要請し議論することが重要です。この点は若手の頃に幅広い分野を経験したことが活きますね」(古川弁護士)。 古川弁護士をはじめとする消費者法に注力する弁護士には、調査対応やビジネスに寄り添ったコンプライアンス対応など、難易度が高く機動性が求められる案件が集まる。古川弁護士には行政処分に関する弁明機会付与後に処分を退けた実績もある。「本来行政処分の要件を満たさないような案件は、本分野でもその旨主張します」(古川弁護士)。 また、表示のコンプライアンスに関しては、迅速な対応が必要となり、企業担当者等と別案のアイデアを出し合うこともある。「問題となりうる表示案について、知恵を出し合い修正案を検討します。改めて調べる時間的余裕がないこともあり、専門的知見の蓄積が必要な業務です」(古川弁護士)。DATA2903年立命館大学法学部卒業。06年同志社大学法科大学院修了。07年弁護士登録、大江橋法律事務所入所。14~16年消費者庁勤務(任期付職員。14~15年消費者庁課徴金制度検討室政策企画専門官。15~16年消費者庁制度課・表示対策課政策企画専門官)。東京弁護士会所属。05年京都大学法学部卒業。07年京都大学法科大学院修了。08年弁護士登録、大江橋法律事務所入所。17年University of Virginia, School of Law 卒業(LL.M.)。17~18年Weil, Gotshal & Manges LLP (New York)勤務。18年ニューヨーク州弁護士登録。大阪弁護士会所属。04年東京大学文学部卒業。10年東京大学法科大学院卒業。11年弁護士登録、ブレークモア法律事務所入所。14年University College London卒業(LL.M.)、アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。16年大江橋法律事務所入所。第二東京弁護士会所属。▶所属弁護士等弁護士159名、弁理士5名、外国法事務弁護士6名、外国弁護士1名(2024年12月現在)▶沿革 1981年1月「石川・塚本・宮﨑法律事務所」を設立。1983年1月名称を「大江橋法律事務所」に変更。1995年5月上海事務所開設。2002年8月「弁護士法人大江橋法律事務所」設立。2002年9月東京事務所開設。2015年9月名古屋事務所開設
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