公取委・消費者庁OBの知見でアドバイスの精度をより高める2拠点体制と緊密な連携で迅速・柔軟な調査対応企業結合事例集掲載案件も多数高度かつ複雑な論点に知悉27 2023年、公正取引委員会前事務総長であり、消費者庁審議官も務めた小林渉氏が同事務所のアドバイザーに就任した。小林氏は毎週プラクティスグループのミーティングに参加し、弁護士に助言を行っている。 小林氏の関与について、大阪事務所の吉村幸祐弁護士は「公取委や消費者庁の内部事情や最新の動向、法律の条項に関する公取委側の解釈など、貴重な“温度感”についてアドバイスを受けています。特に、グリーン社会の実現に向けた取り組みや適正な価格転嫁の実現に向けた取り組みなど、近年注目されているテーマに関する知見は、クライアントにアドバイスを行う際に非常に有益です」と語る。 小林氏の知見はセミナーにも活かされている。2024年には公正取引プラクティスグループによる対面セミナーを東京、名古屋、大阪の3都市で開催し、公取委の最新の取り組みについて、ディスカッションを交えて解説した。 「対面形式でのセミナーは、参加者同士の情報交換やネットワーキングの場としても機能します。活発な質疑応答や意見交換を通じて、参加者の皆様に具体的な課題解決のヒントを提供することができたと感じています」(吉村弁護士)。 公正取引プラクティスグループは、東京事務所と大阪事務所の弁護士が緊密に連携し、一体で活動している。東京事務所の石井崇弁護士は、「専門性が高い案件への対応のため、日常的な情報交換と知見の共有を重視しています。電話、チャット、定例会議に加え、東京と大阪をつなぐランチミーティングで、公取委の発表情報、海外当局の情報、クライアントからの相談内容、各弁護士の専門知識など、多岐にわたる情報を共有し、最新の法規制や市場動向への対応力を高めています。ランチミーティングには小林氏にもご参加いただき、公取委の解釈や視点も共有しています」と説明する。 情報収集の内容は他社の事例や欧米を中心とした海外情報から、独禁法のトレンドをつかむための細かな情報にまで及ぶ。「競争法分野は変化が激しく、公取委からの情報発信も一元化されているとは言えません。海外情報も含め分担して収集・分析し、解説を加えて共有することで、効率的な情報活用とアドバイスの質の向上に努めています」(石井弁護士)。 大阪・東京それぞれに公正取引プラクティスグループの弁護士が常駐することも迅速な対応のために重要なポイントだという。「名古屋オフィスにも酒匂弁護士が定期的に通うなど、対応体制を整えています」(石井弁護士)。 同事務所は、公取委が毎年公表している企業結合事例集に掲載されるような競争上の懸念が高い複雑な案件にも豊富な対応実績を持つ。東京事務所で国内外の競争法案件に携わる菅野みずき弁護士は、「競争上の懸念がない形式的な届出案件よりも、実質的な審査が必要となる案件の比率が高いことが、当事務所の企業結合案件の特徴です」と語る。 寡占市場において競業関係にある企業同士のM&Aにより、市場シェアが高くなるケースが典型的で、問題解消措置の検討が必要になるような事案の相談も多い。「事例集
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