Lawyers Guide 2025
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サステナビリティ法務に求められる対話と協働川谷 恵 弁護士Megumi Kawataniリティ・サービスチームのコンサルタントや、EY税理士法人の環境・サステナビリティ関連税制や通関に詳しい税理士などとチームを組み、分野の垣根を越えた体制で臨んでいます。さらに、昨今は国外でも欧州を中心としてサステナビリティ関連法規制が矢継ぎ早に制定され、グローバルに活動する日本企業にも影響が及ぶことから、国内のメンバーだけでなく、欧州や他のアジア諸国でサステナビリティ法務を専門とするメンバーとも緊密に連携し、一つのチームとしてサービスを提供しています。サステナビリティ法務に携わる弁護士として、こうしたEYの専門分野や地域を超えた協働体制は非常に適していると感じており、伝統的な弁護士業務のあり方ではないかもしれませんが、クライアント企業が抱える難題に対して幅広いサポートをご提案できることに、日々喜びを感じています」(川谷恵弁護士)。 EYでは、各専門分野・地域間のネットワークを通じ、環境法規制、サプライチェーン・デューデリジェンス、サステナブルファイナンス、カーボンプライシング、クリーンエネルギー、サステナビリティ情報開示等のさまざまなサステナビリティ課題に関して企業を多面的にサポートする。川谷弁護士は、EYの法務チームにあってグローバルネットワークを構成する専門家やサービスとも連携し、クライアントのサステナビリティ課題に関する戦略的な法務サービスを提供している。 「近時、特に注目されているのは、欧州における企業サステナビリティ・デューデリジェンスに関する指令(CSDDD)や欧州森林破壊防止規則(EUDR)等のサプライチェーンに関連する法規制です。グローバル企業にとっては欧州市場を完全に無視することはできない場合が多く、グローバルに展開する日本企業にとってもこの点は同じです。多くの企業にとってサプライチェーンの管理やトレーサビリティの確保は大変な課題であり、たとえば我々のクライアントの取引先の中には零細企業や小規模サプライヤーも少なくなく、“人権を尊重している”“森林破壊を防ぐ取り組みを進めている”――といったことを発信する体制が整っていないこともあります。また、欧州のサプライチェーン関連法規制は文言上松田 暖 弁護士Dan Matsuda代替法務サービスプロバイダー)として法律業務のアウト かつての日本企業であれば、契約書のチェックを外部厳選し、定型的な契約書の審査や子会社管理・法令調査断が求められる。前田弁護士は、LFCとLMSを推進していればよいというわけではなく、専門知識や経験、多様なアイ流通、銀行・証券、商社、社会インフラなど、各業界に精通し団のコアとなって法的な専門性や視点も加味してクライア我々にしかできないサービスがあります」(前田弁護士)。働です。たとえば、近時サプライチェーン・デューデリジェンスが重要なイシューの一つとなっていますが、サプライチェー部では調達部門、事業部門、法務部門その他の複数の部門間や地域間の連携、外部ではサプライヤーやカスタ前田 絵理 弁護士Eri Maeda20ス)とともにAlternative Legal Service Provider(ALSP:ソーシングサービスを提供し、クライアントにとって最適なリソースミックスを実現し、法務機能を最大限、発揮できるようサポートします」(前田弁護士)。に委託することなどあり得なかったであろう。しかし、内部リソースが限られる中にあっては、社内で取り組むべきことを(マッピング)に関しては外部リソースを活用するという判く際にも豊富な知見を有するEY内での連携が役に立っていると述べる。「LFCやLMSのようなサービスを提供するために最も必要となるのが“人”です。単に人員が揃っていディアを持った人がたくさん必要です。その点、EYにはテクノロジー、エネルギー、自動車・モビリティ、製造、化学、小売た専門家が数多く在籍しています。我々がこれら専門家集ントを支援させていただくなど、EYのネットワークを活かした 「サステナビリティ法務において重要なことは、対話と協ンの適切な管理のためには、クライアント企業において、内マーとのコミュニケーションが重要になってきます。我々の側でも、サステナビリティ関連サービスは弁護士だけで手がけられるものではないため、EY内の気候変動・サステナビ

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