Lawyers Guide 2025
18/186

民間企業・外務省で得た知見を悩ましい政策対応の打開策に鈴木 潤 弁護士Jun Suzuki経済安全保障に関する国際的な動向や議論に精通し木は外務省で経済安全保障推進法や重要経済安保情報保護活用法など経済安保関連の法制定に関与し国際取引・通商法分野の業務に携わっており、財務省に出向中は国際局投資企画審査室で海外からの対内直接投資の審査業務を担当しました。外資系企業によるM&Aや合弁事業が安全保障に影響を与えるかどうかの審査を法律と経済の両面から行ってきたスペシャリストです。現状、外為法に関して国内で右に出る者はいない さらに、増加と深化を遂げるクライアントの要望に対応や、強力なパイプを活かした省庁への出向を通じて若手育成にも力を入れているという。 2024年9月に入所した鈴木弁護士は、国内外の法律事務所で勤務したのち、ソニーグループ株式会社の法務部で経済安全保障部門の立ち上げメンバーとなり、外務省総合外交政策局経済安全保障政策室で課長補佐を務めた経験を持つ。 ソニーグループではトランプ政権発足以降の米中対立激化に伴い、経済安全保障の重要性が増す中、ソ髙嵜 直子 弁護士Naoko Takasaki直接投資規制等の、経済安全保障関連法制の調査・分析を担当。帰国後には、本社にて増加の一途を辿る各国の経済安全保障法制などに対応するための社内体制構築に尽力した。民間企業で経済安全保障分野に携わった経験は、その後外務省に入省してからも大いに活きたという。 「検討中の政策や法制度について、企業の視点からはどのように受け止められるか、どのように改善すべきか等も含め上長や関係課室の担当者に意見を伝え、積極的に議論をしてきました」(鈴木弁護士)。 外務省で経済安全保障に関する国内法制度の整備や運用にかかる体制構築、審査などを担当してきた経験は、現在は民間企業の経済安全保障に関連する体制構築や対応に還元されている。 「“安全保障”という事柄の性質上、政府の経済安全保障政策にはどうしてもオープンにできない事項があります。このため、企業が法制度に対応し、社内体制を構築するうえで不明点やあいまいな点が残らざるをえません。こうした機微な事項そのものを明かすことはできませんが、政府の考え方も踏まえ、ご相談いただいた案件に即した現実的な対応をご提案したいと考えています」(鈴木弁護士)。 セキュリティ・クリアランス制度について定め、2024年に成立した重要経済安保情報保護活用法への対応も企業の関心が高いが、制度運用は未確定な部分が多い。 「セキュリティ・クリアランスを取得することのメリット・デメリット、取得にあたって整備すべき環境など、多くの問い合わせをいただいています。外務省在籍時、私は国家安全保障局とも密に連携しながらこの法律を担当しており、成り立ちに通じていますので、今後の制度運用の予測も含めてお伝えしたいと思っています」(鈴木弁護士)。1607年弁護士登録(第一東京弁護士会)。08年アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。11年インドネシアSoewito Suhardiman Eddymurthy Kardono(SSEK)法律事務所勤務。12年米国Stanford Law School修了(LL.M.)。12~13年シンガポールWongPartnership法律事務所勤務。16~24年経済産業省通商政策局通商機構部国際経済紛争対策室・国際法務室勤務。09年弁護士登録(第一東京弁護士会)、岡田春夫綜合法律事務所入所。15年The George Washington University Law School修了(LL.M.)。15~16年米国Pillsbury Winthrop Shaw Pittman法律事務所勤務。17年ニューヨーク州弁護士登録。16~22年ソニーグループ株式会社法務部勤務。22~24年外務省総合外交政策局経済安全保障政策室勤務。24年アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。ています。髙嵜は同省で安保輸出管理にも深く関わり、また、清水は同省で国際法務室長を務め、現在はアカデミアの立場からより複眼的な検討を行っています。鈴ました。武士俣は出向前から経済安全保障分野を含むほどの知識と経験を有しています」(中川弁護士)。するため、日々地政学や地経学を含む、国内外問わず通商・経済安全保障に精通する第一人者を招いた勉強会ニーの米国法人であるソニー・コーポレーション・オブ・アメリカに短期赴任し、強化されつつある米国における対内

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る