Lawyers Guide 2025
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141Profile企業法務戦士 @k_houmu_sensi企業法務担当者から企業法務弁護士へ。さまざまなカウンターパートと向き合いながら“法務の立ち位置”に思考をめぐらせる日々。takano utena @msut1076ビジネス部門から法務・広報を経て内部監査部門へ。監査対象として法務部門を見て気づく諸々。10月21日からアディショナルタイム。ちくわ @gigakameゆるふわ普通法務担当。戦闘のプロではない。本の感想と現場の実務ノウハウを言語化する日々。経営アニメ法友会会長。經文緯武 @keibunibu擬古文で呟く人。あと、萌渋スペース(最近頻度が落ちていますが)でちゃちゃを入れる人。きているのではないかと感じます。ちくわさん キャリアのスタートで、「こういうビジネスをやりたい」という意識で会社に入って、たまたま法務部に配属されたという人は、そういった勉強をしようといった発想になると思うのですが、今増えている有資格者がそこに興味を持つかというと、厳しい感じがしています。感覚的にですが、有資格者の人たちは、たとえば大企業だったら自分の大企業の同期と比較して「今、ビジネスパーソンとしてどうか」ではなく、ローファームの弁護士と比較して「自分はどんなスキルを持っているか」となりがちです。ただ、そこで意識を一段階変えるのは相当の労力が必要です。 企業法務戦士さん 最後に“2025年の法務”について、予測していること、期待することをお願いします。utenaさん 特に若い人に向けてですが、視野狭窄にならないでもらいたいです。すぐは無理だろうけれど、社内のいろいろなセクションの目線を持てるようになってほしい、そういう試みを続けてほしいと思います。一方で、専門性を深めることも大切です。誰かから教わって身につくものではなく、自分で機会を求めていかないと難しいと思っています。ちくわさん “仕事で解決する課題”というのはもう多分、法務の専門性軸だけでは解決できなくなってきているので、“俯瞰した目線”を持つべきということで、“普通の部署”に近づいてきています。とはいえ、ビジネス的な視点を持ったうえですべてを自分だけで実行する必要はなく、「他部署がどのような部署で、何をやっているのか」をきちんと理解して、そことしっかりコラボできるような能力が必要になってくる、要するに、自分たちの専門性だけでは解決できない課題が増えてくるだろうと思います。企業法務戦士さん 私は2025年も“会社の中で法務を支える人たちが報われる年”になってほしいと願っていますが、「報われない」と感じている方が依然として多いのだとすると、「なぜ報われないと思うのか」というところをきちんと検証するところからやった方がよいのかもしれません。実際、現場を見てみると、契約書の基本的な審査等、「何でこんなことをやっているのだろうか……」という仕事も多いので、それを法務がそのままやり続けるのかどうか、ということから考えないといけないと思います。また、企業内法務に“会社の視点”ではない視点で動く人が増えてしまった結果、法律が変わるときの産業界からのアクションが弱くなっている、みんな“お利口さん”になってしまっている、という現象も起きている気がします。以前は「その法律を作ろうとする理屈はわかるが、業界として、会社としては絶対に受け入れられない」とガツンとやる人が必ずいました。それも企業内法務の大事なミッションの一つですが、最近はそれが薄れてきている気がします。ちくわさん 私が所属する伝統的な日本企業の観点からですが、法務が組織化されてきた結果、ルーティンが確立されてしまい、必然的にお利口さんになってしまい、はみ出しにくくなってしまいます。でも、だからこそ、他の業界と関わる、たとえばITのスタートアップ業界で組織化されていないところでやっている人たちと話をすることで、言うなれば“お利口さんではない”法務の世界を知ることで、当局との関わり方など、これまでとは違った仕事のやり方にも触れていく必要があると思います。

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