ブリュッセルオフィス開設情報の正確性、信頼性への確固たる自信野崎 竜一 弁護士Ryuichi Nozakiするスリランカチームにも属し、スリランカ市場への進出を目指す日本企業をサポートする。「日本国内の法律事務所では、海外市場におけるプロジェクトであっても、日本弁護士がチームリーダーとなり、外国法事務弁護士はチームメンバーとして動くことが一般的と思われます。しかし、当事務所では外国法事務弁護士がチームリーダーとなり日本弁護士をまとめていくことも多く、スリランカチームでもパティラナ外国法事務弁護士がリーダーとして活躍しています*3」。 パティラナ外国法事務弁護士へのクライアントの信頼も厚く、新たな相談も増えているという。「スリランカに対する日本企業の動きとしては、まず物流企業、交通企業の進出が活発です。また、紅茶が有名なこともあって飲料メーカーも進出しています。目新しいところでは、洋上風力発電事業を手がける企業がスリランカに着目しています。スリランカでは港など沿岸部の地形が洋上風力発電施設を建設するのに適しているそうです。このほか、日本の食文化やキャラクター文化など、ソフトカルチャーに対するスリランカの関心が高くなっています。2022年に発生した反政府運動を契機に政情が不安定となっていましたが、それも沈静化し、安定に向かっています。インドに進出している日本企業は多く、またアドバイスできる弁護士も少なくありませんが、スリランカ国弁護士の資格を持つのは日本でパティラナ外国法事務弁護士ただ一人であるため*2、クライアントからの期待を感じ取っています。 パティラナ外国法事務弁護士は英語も日本語も堪能で、クライアントとのやり取りに支障はありません。ただ、クライアントは、日本法の観点に基づく日本弁護士からの日本語による説明を求めていると感じることが多々あります。我々がパティラナ外国法事務弁護士とクライアントのコミュニケーショ木村 勇人 弁護士Hayato Kimura亀岡 悦子ニューヨーク州弁護士/ブリュッセル弁護士会Bリスト弁護士*Etsuko Kameoka11ブリュッセルオフィス代表パートナー。90年慶應義塾大学法学部卒業。92年慶應義塾大学大学院法学研究科修了。12年ブリュッセル弁護士会(Bリスト)、ニューヨーク州弁護士登録。*日本における外国法事務弁護士の登録はない。パートナー弁護士。09年東京大学教養学部卒業。11年東京大学法科大学院修了。12年弁護士登録。22年University of Michigan Law School修了(LL.M.)。第二東京弁護士会所属。シニアパートナー弁護士。96年慶應義塾大学法学部卒業。00年弁護士登録。07年Boston University School of Law修了(LL.M. in Banking and Financial Law)。第一東京弁護士会所属。ンの橋渡しとしての役割を果たしていきたいと考えています」(木村弁護士)。 同事務所はこれまで、ロンドン、ニューヨーク、フランクフルトに拠点を構えているが、四つ目の海外拠点として開設したのが、EU本部が置かれ、欧州経済の中心地であるブリュッセルオフィスである。「“現地にある”ことの最大の強みが情報の質、正確性です。ITネットワークが発達した今、世界のどこからでも目的の情報を得ることはできますが、信頼性には疑問符がつきます。特に、EU圏内の立法の動向は日々変わり、加盟国の中での賛成・反対の状況も明確に公表されるわけでもないため、交流がある企業や弁護士の雰囲気からでしか感じ取れない情報も多くあります。正確性と速さを満たすには現地の空気を肌で感じるのが最適です」。亀岡悦子ニューヨーク州弁護士/ブリュッセル弁護士会Bリスト弁護士*4は20年以上欧州に身を置き、日本企業に適したアドバイスを日本語で提供し続けている*5。 「これまでEUにおける競争法、規制法に関する案件を手がけてきました。主に欧州でビジネスを進める日本企業に対してアドバイスしてきましたが*5、これまでは現地に拠点を開設するほどではなく、日本企業もEUの立法動向などについて日本国内の法律事務所に相談するだけでも問題なかったと思います。しかし、競争法はもちろん、企業活動をめぐる立法動向が活発になり、問題が発生してからの手当てではなく、その前段階からの積極的な対応をとることが必要となっています。日本企業が直接、日本人である現地弁護士に日本語で相談できるよう、現地オフィスの開設が強く求
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