Lawyers Guide 2025
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125【下】Teams会議での多言語文字起こしや翻訳、即時にサマリー作成が可能。【右】膨大な英文契約書で修正したい項目を見つけ、修正案を提示してくれる。指示は日本語で簡単にできる。信頼性の高い議事録作成やスムーズな渉外業務を実現英文契約のレビューも簡単にCopilotへの指示でスピードアップ業務アプリ上でAIが作業をアシストMicrosoft 365 Copilotとは 「Microsoft 365 Copilot」(以下「Copilot」)はMicrosoft 365 アプリケーションに統合されたAIアシスタントで、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、TeamsなどのMicrosoftアプリケーションに組み込まれた状態で作業を効率化・高度化するものだ。その特徴は各アプリケーション上で指示を行えることにある。たとえば、Word での契約書作成において、過去の類似文書を参照しながら新たな条文のドラフトを生成できるほか、Teams会議ではリアルタイムの翻訳や文字起こし、議事録作成などを行うことができる。 日本マイクロソフト株式会社の政策渉外・法務本部では2023年10月からCopilotを導入。多くの法務部員がその効果を実感し、日々の業務にフル活用する。同部の梶元孝太郎弁護士は導入を待ちわびていた一人だ。 「1年程前に米国本社を訪れていた際に、ようやく社内にCopilotが導入できそうだというアナウンスがあり、多くの国のメンバーと興奮したことを覚えています。業務の性質上、ドキュメントワークとコミュニケーションの量は多くなりがちですし、可能な限り書面で記録化すべき性質があるため、生成AIを活用したいと常々考えていました」(梶元弁護士)。 法務部長である小川綾弁護士も「AIツールを個別に立ち上げる必要がなく、作業フローを中断せずにAIの支援を受けられるのは大きなメリット」だと語る。 「限られた時間をより有効に活用でき、生産性の向上を実感しています」(小川弁護士)。 中島麻里弁護士によると「Copilotはネイティブでない英語話者にスピードと安心感を与えてくれる」という。たとえば、海外メンバーとのTeams会議では多言語文字起こしや翻訳機能が使える。また、「聞き逃した」と思う箇所については、Copilotに「これまでの会議の要約をして」と質問をすれば会議中でも即時にサマリーを作成してくれるため、話題に遅れることもない。文字起こし・翻訳のスピードもストレスを感じない。言語についても、42言語に対応しており(2024年11月現在)、マイクロソフト社の海外のグループ・関連企業のある国で、非対応の言語が見当たらないほどだという。 会議後に議事録を作成する場合も、指示一つで瞬く間に議事録が完成する。生成AIであるがゆえに時には文脈を誤ることもあるが、そこにもリカバリーが効いている。 「Copilotの場合は、要約を作成する際、情報を参照した箇所にリンクが付与されています。違和感がある場合は、参照元を確認して正誤を確認できますし、その情報に基づいて修正することもできます」(梶元弁護士)。 海外向けメール作成のサポートにも最適だ。日本語で概要を指示すれば、Copilotが適切な文面を自動で生成してくれるので、それを修正して送付できる。また、自身で作成した英文を自然な言い回しになるように添削を依頼することもできる。 法務部員が苦労しがちな英文契約書のレビューにおいても、Copilotは威力を発揮する。英文契約書は一般的にボリュームが非常に多く、顧客との打ち合わせで問題になった箇所について、すべての条項を読んで修正ポイントを抽出するには労力を要する。この課題もCopilotを利用すればスムーズに解決できる。問題点の解消や全体を見てリスクが懸念される点を補うために条項を修正・追加する場合でも、Copilotに希望の内容を指示すれば済む。 「英文の契約書でもCopilotに日本語で指示を出すだけで十分です。たとえ

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