Lawyers Guide 2025
113/186

業態ごとに経験豊富なチームを編成多様な顧問先のニーズに対応発展の源泉は成長への意欲と旺盛な好奇心111▶所属弁護士等弁護士19名、司法書士1名(2024年12月現在)※2025年4月に新規登録弁護士2名加入予定▶代表弁護士の所属弁護士会第二東京弁護士会▶沿革2011年1月開設 「東証の市場再編により、今後上場廃止対象となるスタートアップ企業は相当数に上る」と大村弁護士は分析する。「スタートアップが自社の上場廃止を阻止するためには、たとえば大手企業との連携が考えられます。大手企業と資本業務提携を行うことで業績を上げて株価のバリューアップを図るという戦略です。第三者割当やオーナーの保有する株式の売出しなどが具体例ですが、その際、会社法だけではなく金融商品取引法の深い知識が必要となります」(大村弁護士)。 他方、同事務所は上場後の成長支援としてM&Aも多く手がけ、買手側のSPA(株式譲渡契約書)や法務デュー・デリジェンス(DD)の実績を有するため、昨今はメガベンチャー、ファンドや大企業の依頼も増えた。その知見をまたIPOした顧問先のM&Aに還元する――という、よい循環も生まれているという。 「上場企業の傘下に入り子会社化する、SES事業(システムエンジニアリングサービス)のM&Aも増加している」と語るのは由木竜太弁護士だ。「SES事業のM&Aで注意を要するのが“偽装請負”です。中小企業のコンプライアンスは上場企業のレベルに足りていない場合も多いですが、IPOの際に証券会社から指摘された事項を集積しているからこそ、“アドバイスが実務的”と評価いただいています。DDの際にも、NGを突き付けるだけでなく、“どういった点に今後気をつけていくべきか”を必ず添えています」(由木弁護士)。 同事務所では、新法・改正法の実務対応から最先端法務まで、各業種に深い知見を有するメンバーをマッチアップし、助言を行う。 「当事務所はクライアント単位のチーム制で案件対応を実施しており、それゆえ、個々の弁護士が幅広い法分野の知識を集積し、特定の専門分野のみに偏ることなくあらゆる業種のIPOやM&Aに対応できます。東京証券取引所の審査の厳格さに対応するための準備として、IPOに際しての自社DDの支援も増加傾向です。私が携わる機会の多いIT業界では、クライアントの海外進出増加に伴い、GDPRなど海外の個人情報保護法制対応も多くなりました」(春山修平弁護士)。 「コロナ禍で規制緩和されて以降、医療機関から診療や薬の処方のオンライン化に関する相談が増えました。この分野では厚生労働省から指針が出されていますが、運用面で不明確な部分が多いので、厚生労働省に確認のうえ、実情に即したアドバイスを心がけています。また、景品表示法のステマ規制に関する案件も急増しています。こちらも運用面でグレーな面が多く、リスクとビジネスを勘案したアウトプットが求められていると感じます」(深町周輔弁護士)。 「2024年11月1日施行のフリーランス・事業者間取引適正化等法については、実務の運用に合わせ、今後どのように行政指導されていくかを意識しながらの対応が重要になると考えています」(由木弁護士)。 「AIの分野では、レピュテーションリスクへの備えとして、法律以外に倫理も重要になります。本来は弁護士が立ち入るものではないのかもしれませんが、できる限り情報を収集し、それも鑑みたアドバイスを行っています。また、科学技術振興機構によるスタートアップ支援事業の東北ブロックのメンターとして、大学発のスタートアップ支援にも携わっています」(板井貴志弁護士)。 “経営目線の職人集団”であることも同事務所の特徴の一つだ。各々の専門分野を持つ経験豊富なプロフェッショナルたちが、さまざまな課題に時には慣習や固定観念を捨てて取り組くんでいる。そのための人材育成について、美和薫弁護士は次のように語っている。 「ロースクール生に当事務所を知ってもらうために、2024年に初めてスプリングクラークやサマークラークを実施しました。当事務所は、“クライアントの成長をサポートすることで私たちも成長していく”という理念に共感できる人材を求めています。また、スタートアップ支援では新しいビジネスについて勉強する必要がありますので、好奇心が旺盛であることも重要ですね」(美和弁護士)。DATA

元のページ  ../index.html#113

このブックを見る