Lawyers Guide 2025
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“人”と“数字”の両面からアプローチするハイブリッド型の経営コンサルティングサービス瀧谷 耕二 弁護士Koji Takitani 「近年、投資家からの要求が厳しくなってきているものの、多くの上場企業では、前年を参考に想定問答を作り予行演習をして本番を迎え、結果、問題なく株主総会を終えます。そして翌年もこのルーティーンワークを繰り返す。これでは、企業価値を向上させることはできません。これを改善するためには、事務局の方々との密な連携が必須です。サポートに際して、中期経営計画などの外部資料や競合他社のデータなどからクライアントの強み・弱みを分析しますが、外に出ていない情報や社内の実務担当者の方々が抱える問題意識などはわかりません。それらを事務局の方々から吸い上げて分析に加えることで実のあるサポートができるようになります。その結果、経営陣に対して耳の痛いことを言う、“嫌われ役”を引き受けることもあります。これが株主総会を企業価値向上につなげるポイントですね」(久保田弁護士)。 同事務所では、このサポートの際には、財務・会計・資本市場の専門家やアカデミアとのネットワークを駆使して対応にあたるという。アクティビスト株主に対して正面から向き合い、撤退させたケースでは、相手方の理論に対して専門家により構築された理論で対抗することが有効であったと久保田弁護士は分析している。 また、役員・幹部向けのコンプライアンス研修においては、事前に担当部署からニーズを聞き取り、そこに焦点を当てたオリジナルの研修コンテンツを作成して実施することでクライアントから好評を得ている。同事務所では、情報管理体制の改善など、コンプライアンス体制とその運用面の強化に向けた依頼も増えてきているが、平時におけるコンプライアンス体制の強化に向けた取り組みは、多くの企業で予算もつきにくく人員も限られていることから、「効果的な対応を行うためには、担当役員を巻き込んだ事前ミーティングの実施が欠かせない」と久保田弁護士は示唆している。 外部専門家のネットワークに加え、同事務所では独自の経営コンサルティングサービスの提供も実施している。それは久保田 真悟 弁護士Shingo Kubota町田 覚 弁護士Satoshi Machida103▶所属弁護士等弁護士34名、税理士1名(2025年1月現在)▶代表弁護士の所属弁護士会第二東京弁護士会▶沿革1994年の創設以降、“税務”と“企業法務”を軸に発展を続け、2023年、創立30周年を迎えた。近年では“労務”も軸に加え、“成長を支える”“専門性と開拓者精神”“先手必勝”の三つの理念のもと、お客様にとって最良のリーガルサービスを提供している▶受賞歴日本経済新聞社「2024年に活躍した弁護士ランキング」の税務分野・総合ランキングで鳥飼重和弁護士が第2位に選ばれている「“経営指標”に特化したものではなく、“人”にも目を配る、いわばハイブリッド型の経営コンサルティングサービスです」と町田覚弁護士は語る。「法務、会計、経営効率、人材といった多角的な視点でクライアントの状況を見極め、リスクの兆しには迅速な対応を促しつつ、挑戦すべき時には経営者の背中を押すよう心がけています」(町田弁護士)。 多角的な視点の中で町田弁護士が特にこだわっているのが“人材”だ。「会社というものはカタチがあるわけではなく、そこにいる人によって初めて成り立つものです。確かに経営指標は判断材料として重要です。しかし、それは目的にはなりえません。会社には“経営理念”という目的があり、その実現には経営者自らが従業員一人ひとりと真摯に向き合い、その熱い思い、“アニマルスピリット”を伝え、同じ方向を向いてもらうことが重要です。一方で経営者は会社の現状を客観的に把握できなければ管理ができませんし、対外的に経営状況を説明することもできません。また、従業員も自らの会社への貢献度がわかりません。そこで、会社の状況を客観的に把握するために“経営指標”を用いた分析が必要となるのです。アニマルスピリットの共有と冷静な数値管理、この両輪によって強い経営が実現します」(町田弁護士)。 同事務所では、こうした取り組みを推し進めるために、株式会社鳥飼コンサルティンググループを設立し、経営コンサルティングサービスの充実・強化を図っている。法務、会計、経営効率、人材、あらゆる面で企業をサポートできるのは同事務所ならではの大きな特徴だと言えよう。DATA

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