Lawyers Guide 2024
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9308年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。11年慶應義塾大学法科大学院修了。13年弁護士登録(第一東京弁護士会)。13年柳田国際法律事務所入所。15年株式会社Liquid(現・株式会社ELEMENTS)経営管理部長就任、19年株式会社ティアフォー法務責任者就任。19年轟木法律事務所設立。22年弁護士法人轟木総合法律事務所設立。▶所属弁護士等弁護士1名(2023年11月現在)▶沿革2019年轟木法律事務所設立、2022年弁護士法人轟木総合法律事務所設立▶過去の主要案件株式会社Warranteeによる米国NASDAQ市場上場の日本側カウンセル、HW・ELECTRO株式会社による米国NASDAQ市場上場の日本側カウンセル、某日本企業の米国法人による米国NASDAQ市場上場の日本側カウンセル、東京高裁令和5年8月23日判決(将来給付の訴えを認容)中央値が約2億円、平均値が約7億円であることからも、この実績の価値が窺える。スタートアップのNASDAQへの上場高い株式の価値評価が魅力 2023年7月25日、同じくFINOLABに入居していた株式会社Warranteeが、米国NASDAQ市場(Capital Market)へ上場を果たした。この日本側のカウンセルを務めたのが轟木弁護士である。米国の法律事務所とのネットワークを活用しつつ、米国法律事務所によるDD(デューデリジェンス)への対応、F-1(SECに提出する目論見書)における日本法部分の作成、FEFTA(対内直接投資等)対応などを担当した。なお、2023年10月現在、NASDAQに上場している日本の企業は全部で10社に満たない。 「NASDAQに上場するメリットの一つは、株式の価値評価として米国に上場する類似企業をベースにするため、高いバリュエーション(時価総額)で評価される傾向があることです。形式的な上場基準を充足すれば、上場自体は可能とされています」。 しかし、NASDAQ上場実務については、顧客ニーズと供給サイドのギャップが存在するという。「NASDAQ上場実務は、米国証券会社等が日本企業のすべての株式を引き受けることに伴う外為法の手続から、日本法に基づいて発行される株式を裏づけとするADRの発行手続まで、幅広い対応が求められます。これをグローバルな大手事務所に頼むとなると、リーガルフィーだけで莫大な金額になってしまいます」。 それにもかかわらず、NASDAQへの上場を希望するスタートアップは今後増加すると轟木弁護士は予想する。国家戦略としてスタートアップ支援が策定され、金融緩和によるVCマネーのエグジット先の多様化が不可欠な中、海外での事業展開を目指すスタートアップを含めて米国市場への上場も一つの選択肢になってくるからだ。轟木弁護士は、スタートアップの法的サポートの一環として、従来から手がけてきた国内のスタートアップによるさまざまなM&Aに加え、NASDAQへの上場支援にも力を入れていくという。将来の損害の請求を認めた“画期的”判決既存の領域に捉われずに行動していく 2023年8月23日、東京五輪選手村の引渡遅延の裁判において、東京高裁は、訴えを却下した一審東京地裁判決を取り消し、地裁に審理を差し戻した。この訴訟の購入者側の代理人を務めているのが轟木弁護士だ。このほかにも集団訴訟などの紛争も多数手がけている。 「“プロボノ”活動を行うことが弁護士の使命の一つであり、“ノブレス・オブリージュ”、法律家という職業人として果たさなければならない“社会的な責任”として、企業法務だけでなく紛争案件についても対応しています。キャピタルマーケットからクラスアクションまで、最小限のチームを保ちつつ、生成AIを含むテクノロジーを最大限活用しながら、社会の変化に合わせて既存の領域にとらわれずに行動していければと思っています」。轟木 博信 弁護士Hironobu Todoroki

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