Lawyers Guide 2024
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81▶主な所属弁護士会第一東京弁護士会▶所属弁護士等弁護士4名(2024年1月現在)▶沿革1986年9月開設▶過去の主要案件▽使用者側の人事労働案件(企業への助言・訴訟対応等)▽商事、会社法関係、知的財産法、金融商品取引法、独占禁止法等を含む企業法務全般▽法的倒産案件▽主な訴訟案件として、ユニオン・ショップ解雇の有効性が争われた最高裁判決、出向命令の有効性が争われた最高裁判決、待機時間の労働時間性が争われた最高裁判決など▶所属弁護士による主な著書(共著含む)『Q&A賃金トラブル・予防・対応の実務と書式』(共著、新日本法規出版、2020)、『論点体系・判例労働法1』(共著、第一法規、2015)、『最新判例から学ぶメンタルヘルス問題とその対応策・Q&A〔第2版〕』(労働開発研究会、2015)、『Q&A労働法実務シリーズ⑥解雇・退職〔第4版〕』(中央経済社、2011)、『労働条件変更の実務Q&A』(三協法規出版、2009)、ほか多数 「労働事件として会社名が残ったり、原告側の会見や風評リスクに晒されたりするのを嫌うため、近年では人事・労働訴訟は途中で合意・和解することが大半で、訴訟や判決まで至ることは少なくなっています。よって、判例に表れない実務の体験・感覚がカギを握っており、当事務所はその経験・ノウハウの豊かさに強い自負があります」(加茂弁護士、三浦弁護士)。経営者の思いに応え半世紀新時代の論点にも複合知を提供 日本の重厚長大企業が世界を席巻した昭和中期から労務案件に携わる加茂弁護士。往年の使用者(経営者)の熱意を受け止め、成熟期に差しかかる顧客企業の確かな相談相手としての地位を確立している。 「歴代の経営者は“総資本のチャンピオン”という意識で “総労働(組合)”と対峙してきました。自社の収益性を高め、従業員ひいては国民生活の向上に資する労使関係を築こうと真剣に悩み、将来の日本を見据えて戦う彼らと大規模争議や訴訟に挑み、また経営法曹会議の一員として労働関係法令の立法にあたり経団連に助言した経験もあります。人事・労働紛争に対する企業の姿勢も移りゆくものですが、“歴史をともに作ること”への矜持は変わりません」(加茂弁護士)。 「業務改善や従業員の働きやすさに資するのであれば、勝訴できそうな場合でも相手方と話し合うこともあり、逆に法的には議論がある問題であっても譲れない点は戦うべきこともある。勝敗の二元論のみでは収まらないのが労働事件の特殊性です。たとえ類似判例や参考書籍があっても、業界・風土や個別の経緯など多彩なファクターも踏まえる必要があり、機械的な判断はできません。最大のポイントは、事実の正しい把握と、日々の相談などから漏れ伝わる “実はこうしたい”という隠れた意図を引き出すことです」(青山弁護士、小峯弁護士)。 顧客企業の心を開かせる盤石の信頼感。そこから人事・労働とは直接関係のない相談が同事務所に持ち込まれることも少なくない。 「グループ会社を包含する内部通報制度において、子会社従業員から通報対象でない事実の通報がなされた場合の対応の適法性が争われた事案や、従業員からの職務発明にかかる相当の対価(利益)の請求がなされた事案なども受任します。また、退職する従業員からの秘密保持誓約書取得時の対応や、退職者が掲載したインターネット上の記事の削除・持出し資料の返還にかかる仮処分申立て、従業員個人情報の第三者提供にかかる個人情報保護法対応など、“ヒト”に起因する相談は幅広くお受けします」(三浦弁護士)。 「個人情報保護の点では、位置情報の取得や監視カメラでの容貌撮影など、高度IT化に伴う相談が印象的です。顧客企業に耳障りのよい解決策ばかり示すのではなく、立法・規制の趣旨など根本的な背景から対策を検討することが、万一の問題発生時の責任を果たすことにつながります」(小峯弁護士)。 紛争解決の巧みさが、予防法務の糧になる。「就業規則や懲戒規程の改定が典型例です。個別条文の指摘に始まり、労働条件の不利益変更にあたる場合の重要度に応じた社員への入念な説明手続や緩和措置の検討、労使協議までのスケジュールの立案など幅広く対応します。近時はM&Aに伴い両社の規則を統一したいといった状況も増えていますが、いかに紛争を回避するかが相談の眼目ですね」(青山弁護士)。    「人事・労働訴訟は、合理性など抽象的な要件が問題となることも多く、裁判所がどう判断するかの予測可能性が低い。そのため、従業員への説明や同意の取得方法はもちろん、制度設計そのものも重要となり、法的観点と会社ビジョンを踏まえた“人事コンサル的”観点の両面での対策・助言も必要となります」(三浦弁護士)。 「“立体的に物事を見ること”を心がけています。どのような組織でも人事・労務問題がある。広い想像力で背景を理解し、周辺分野の訴訟の知見も駆使して、複層的に事案に接してきた強みを還元できると期待しています」(加茂弁護士)。

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