Lawyers Guide 2024
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URL78〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-10-1 虎ノ門ツインビルディング東棟16階【TEL】 03-5561-8550(代表) 【FAX】 03-5561-8558https://www.uslf.jp/“訴訟はビジネスにおける一つの手段”その心は? 法律事務所の業務は多岐にわたるが、知財系の法律事務所にとって最も力量が問われるのは、やはり特許訴訟であろう。勝訴率をアピールする事務所が多い中、弁護士法人内田・鮫島法律事務所の栁下彰彦弁護士は「訴訟はビジネスにおける一つの手段でしかない」と言う。その心は一体何なのか。 「勝ち負けよりも、“訴訟によってどのようなビジネス状態を達成したいのか”という視点が重要です。たとえば、特許権者が侵害者に対してライセンス交渉をしていて、交渉が暗礁に乗り上げて訴訟をせざるを得ないというケースであれば、本来達成したいことはライセンスとなります。であれば、判決で白黒つけることに固執するのではなく、早期に和解のテーブルに持っていくことが重要。つまり、ライセンス契約を実現する手段として、訴訟を使うということです」(栁下弁護士)。 高橋正憲弁護士は、「目指すべきゴールを正しく設定するには、クライアントからのヒアリングを通してマーケットの状況をつかみ、クライアントとマーケットの関係を知ることが大切」と続ける。 「たとえば市場でA社とB社が競合していて、A社からライセンスを受けている製品群と、B社からライセンスを受けている製品群が併存している場合があったとします。A社がB社を訴える場合と、B社のライセンシーを訴える場合では目指すべきゴールは異なるでしょう。B社を市場から排除することを目的にするなら、訴訟は徹底的に勝ちに行く。他方で、自社のライセンシーに乗り換えさせることを目的とするなら、ライセンス交渉を進めながら、場合によっては訴訟を利用することが考えられます」(高橋弁護士)。 これらは、まさに企業間紛争を熟知したスタンスといえるだろう。個人間の紛争なら、生じた損害の補償やトラブルを解決することそれ自体が目的になるが、企業が行う訴訟はあくまで事業活動の一環である。“訴訟に勝って事業で負けた”では意味がないし、“訴訟には勝ったが莫大なコストがかかり、それに見合ったビジ弁護士法人内田・鮫島法律事務所

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