Lawyers Guide 2024
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 禁止規範(dis-incentive)を前提に行動規範(incentive)型のガバナンス設計を アジャイルプラス法律事務所の弁護士陣は、自らを“エンジニア”と呼び、“法”という“言語”を用いて顧客の目指す将来をともに設計し、望ましい判断・行動までを確実に実装する。 「法を“行為規範”とは従来から意識してきました。“してはいけない”禁止規範の説明に終始したところで、顧客企業の“で、どうすればいいの?”という質問に答えるには、我々も“商売人”の目線で踏み込んだ出口までのアドバイスを提供しなければならない。とりわけ昨今は、コンダクト・リスクやプライバシーガバナンスなど、行為規範を意識したガバナンスの考え方が広まりつつあり、やっと周囲が追いついてきた感覚があります」(木下和博弁護士)。 課題解決のためのパートナーシップを構築し、協力してビジネスを実現するまでのビジョンを定立したい者にとっては、同事務所は二人三脚の抜群の組合せになると木下弁護士は意気込む。「行為規範の意義が見直される背景には、行動経済学や脳科学などの進展も大きい。つまり、人間の行動と動機づけとの関係が科URL72〒103-0027 東京都中央区日本橋2-1-3 アーバンネット日本橋二丁目ビル10階【TEL】 03-6823-1310 【FAX】 03-6823-1312https://agile-plus.jp学的に解明される過程で、規範設計のあり方も、“dis-incentive:不利益付与による忌避”型では限界があることが理解され“incentive:利益付与による誘導”型の有効性が注目され始め、ガバナンス設計等にも導入・展開が進んでいます。この潮流は、加速こそすれ減速することはなく、多くの企業がその方向へシフトしていくと考えます。ルール面でも、“法が定めているdis-incentive(禁止規範)を、ビジネスにつながるincentive(行為規範)にどう再構築するか”が我々のエンジニアリングの“肝”であり、構造の異なる法とビジネス両方の体系を理解したアドバイザリー業務は、まだまだAIでは到達困難な領域だと自負しています」(木下弁護士)。 相づちを打ちつつ「“弁護士っぽくない”“営業っぽい”と言われるのが一番嬉しいです」と語るのは、徐英教弁護士だ。「私も木下と同様に、問題を主導して顧客企業を巻き込みながら話を進めるスタイルが好み。エンジニアリングの基本は、顧客企業の営業担当よりも“その企業の製品を売りたい”と感じるほどの思い入れにあると思っています。顧客企業の業界は、商社、運輸、建設、小売と多種多様ですが、とりわけ韓国関連案件を強みとしつつ、中国法や欧米圏の英文契約・租税対応などについてもグローバルに相談対応を行ってアジャイルプラス法律事務所

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