Lawyers Guide 2024
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57ESG対応の難しさをいち早く見抜きESG・SDGsプラクティスグループを創設律事務所Atama Lawと提携し、インドネシアオフィスとして業務を開始しただけでなく、サンフランシスコで20年以上の歴史を有するYorozu Law Groupと戦略的提携関係を結び、Miura & Partners(US)となった。「日本市場は長期的に見ると少子高齢化等によって縮小傾向にあるものの、海外企業にとってはまだ大きな市場であり、対内投資も活発に行われると予想しています。また、日本企業が海外に積極的に打って出る動きも引き続き活発です。我々は日本発のグローバルファームとして、国内外のクライアントのあらゆる法務ニーズに応えていけるよう、体制を強化していきます」(渥美弁護士)。 「“企業が長期的に成長するためにはESGに関する取組みが重要である”という認識は浸透しつつあるものの、環境法制などの個別法対応以外に罰則つきでESG対応を義務づけるハードローがない中でソフトローによる規律が進展しているという我が国の状況下では、まだESG対応に着手できていない企業も少なくありません。上場企業であっても、積極的に体制構築や取組みを進めている企業とそうでない企業の二極化が見られます」。ESG・SDGsプラクティスグループの中心メンバーである坂尾弁護士には、環境規制対応、ESGに関する開示を含むコーポレートガバナンス・コード対応、人権方針・人権デューディリジェンスといった“ビジネスと人権”の問題への対応など、幅広い相談が寄せられている。 Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)という異種の要素が混在した複合的・先進的分野への相談対応は、同事務所が追求する“Full Coverage”の真価を発揮する代表事例ともいえる。 「ESGの重要性は理解しつつも、具体的にどのようなことを実践すればよいのかがわからず、対応に苦慮している企業をサポートすべく、我々はいち早くプラクティスグループを立ち上げ、クライアントの個別のニーズに合わせたアドバイスを提供し、二人三脚で併走してきました。特に、人権については先例が少なく、企業にとってリーガルリスク・レピュテーションリスクを的確に把握することが難しいため、クライアントの初期的な検討段階から相談を受けることも少なくありません。人権尊重の観点に基づくリスクマネジメントや人権意識を高めるための社内研修の相談も増加しており、“ビジネスと人権”の問題に真剣に向き合う企業が増えている実感があります。 さらに、ESG分野では実際の取組みに加えて、その情報開示や表示についても関心が高く、積極的な情報開示がレピュテーションやブランドイメージを高め、投資の呼び込みにつながりうる反面、“ESGウォッシング”と呼ばれる実態を伴わない見かけだおしの開示・表示が大バッシングを招来する危険があります。そのため、開示や表示に専門性を有する弁護士の経験値・実践知が非常に有用です。このように、ESG大村 剛史弁護士Tsuyoshi Omura02年東京大学法学部卒業。07年弁護士登録(第二東京弁護士会)。07~11年牛島総合法律事務所。11~19年高井・岡芹法律事務所。14年~経営法曹会議会員。Best・LawyersによるThe・Best・Lawyers・in・Japan・2024においてCorporate・and・Mergers・and・Acquisitions・LawおよびLitigation分野のBest・Lawyersとして選出。日本経済新聞の「2022年・企業法務税務・弁護士調査」労働分野において18位に選出。渥美 雅之弁護士Masayuki Atsumi06年神戸大学法科大学院卒業。06~08年公正取引委員会。09年弁護士登録(第二東京弁護士会)。09~17年森・濱田松本法律事務所。15年University・of・Chicago・Law・School修了(LL.M.)。16年ニューヨーク州弁護士登録。17年英国弁護士登録。Who's・Who・Legal:・Japan・2023のCompetition分野において"National・Leader"、Who's・Who・Legal:・Competition・2023において"Future・Leaders"にそれぞれ選出。

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