Lawyers Guide 2024
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5106年東京大学法学部卒業。08年東京大学法科大学院修了。10年弁護士登録(第一東京弁護士会)、長島・大野・常松法律事務所入所。17年コロンビア大学ロースクール修了(LL.M.)。17~18年Schulte・Roth・&・Zabel・LLP(米国)勤務。18~19年中倫律師事務所(中国)勤務。13年東京大学理学部物理学科卒業。14年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修士課程中退。15年弁護士登録(第一東京弁護士会)、長島・大野・常松法律事務所入所。21年カリフォルニア大学バークレー校ロースクール修了(LL.M.)。21~22年経済産業省勤務。▶所属弁護士等559名(日本弁護士512名、外国弁護士47名)(2023年12月現在)▶沿革2000年1月に長島・大野法律事務所と常松簗瀬関根法律事務所が統合して設立▶受賞歴Chambers・Global/Asia-Pacific、The・Legal・500・Asia・Pacific、IFLR1000、ALB・Rankings等の複数の有力な外部機関による部門別評価において各分野にて継続的に高い評価てを希望されることがあります。中国現地の会社法のしくみや運用は、むしろ以前より柔軟化されているので、知恵を働かせて工夫する余地は増えています。また、中国から日本への投資についても、相次ぐ外為法の改正によりハードルは上がっていますが、案件は増えていますし、皆さんの周りでもSNSやゲーム、EV等の新しい分野で、中国企業の製品・サービスを見かけることは前より多くなっているのではないでしょうか。実際に限られたセンシティブな業種を除き、多くの対日投資は当局に適切に説明を行えば十分可能です。逆に日本側としては、単に投資のハードルを上げるだけでなく、受け入れた後のモニタリングのしくみを考える必要もあると思います」(鹿弁護士)。影響範囲が広い欧州の対露制裁には確実な規制の把握と判断が必要 欧州における対露制裁への対応は、日本企業の目下の大きな関心事だ。2016年から2019年にかけてドイツ、オランダ、ロシアの法律事務所で執務し、欧州やロシア・CIS地域におけるM&Aや企業取引の助言を行ってきた大沼真弁護士は「対露制裁についてはG7各国が協調しているものの、国際的な条約などに基づくものではありません。このため、対露制裁対応には各国・地域の規制の把握が必要です」と語る。 「欧州で対露制裁を行っているのはEU、英国、スイスなどです。日本企業がロシアでビジネスを行う際には、在ロシアの子会社を欧州の中間持株会社を経由して運営する手法がとられることが多く、この場合は欧州の制裁法が無視できません」(大沼弁護士)。 制裁は直接的に欧州やロシアに法人を置いていない日本企業にも影響があるという。「ロシアや欧州に子会社がない場合でも、日本企業がEUや英国とビジネス上の接点がある場合は制裁法の影響が及ぶ場合があります。これは“タッチポイント”や“nexus”と呼ばれるもので、認められるか否かは各国の制裁法の解釈によりますが、幅広く認められる可能性がある点に注意が必要です。たとえば英国の市場で特定の事業への保険の提供を受けている場合にも認められる可能性があります」(大沼弁護士)。 加えて、ロシアでビジネスを行ってきた日本企業が日本や欧米の制裁を遵守しようとする場合に、ロシアによる対抗措置への対応で苦労するケースもあるという。「ロシア政府は国内法で諸外国の対露制裁への対抗措置を定めています。このため、ロシア内に事業や駐在員が存在すると、企業は各国の制裁法とロシア国内法の板挟みになります。“法令遵守”という場合には、一般に外国法も含めた法令の遵守が求められますが、各国の法令が対立する状況下において、難しい判断を求められるケースも生じています」(大沼弁護士)。 この状況を未来の東アジアの地政学リスクと重ね合わせる企業も多い。「最近は、将来、台湾有事があった場合に備えて、ロシアでの事例提供を求められることが増えました。不安定な世界情勢の中、ウクライナ侵攻問題を一つの指標として、世界の反応、生じる問題、日本企業がとるべき対応について先んじて手を打とうとする動きが生まれているのです」(大沼弁護士)。 複雑化を増す経済安全保障の分野において企業を守るために。同事務所の弁護士たちの研鑽は続く。鹿 はせる 弁護士Haseru Roku大澤 大 弁護士Oki Osawa

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