Lawyers Guide 2024
52/156

URL48〒100-7036 東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー  【TEL】 03-6889-7000(代表) 【FAX】 03-6889-8000(代表)https://www.noandt.com/インテリジェンスが法務に求められる時代の弁護士の役割 米中対立やロシアのウクライナ侵攻等により頻繁にメディアに取り上げられるようになった“経済安全保障”の問題は、いまやグローバルな取引等を行う企業にとって大きく懸念すべき事柄である。この問題に対し長島・大野・常松法律事務所は各弁護士の各国駐在で得た経験や人脈に基づいて情報収集をするとともに、ニューヨーク・上海をはじめとする拠点での実務を通して得た知見により個別事案に寄り添うアドバイスを提供している。 「経済安全保障は、岸田内閣になって担当大臣の設置や所信表明演説における法案策定の表明などが示され、大きな注目を集めるようになりました。これに伴い企業側も対応の真剣度を強めたように思います」と語るのは、2021年から2022年にかけて経済産業省の安全保障貿易管理政策課・大臣官房経済安全保障室等に出向経験のある大澤大弁護士。 「実務的には法務担当者のカバーすべき範囲が広くなりました。従前、法務業務は固まった法令を遵守する観点からの検討という側面が強かったのですが、経済安全保障分野については日々変化する規制を追いかけ、さらには将来ありうる規制まで予測する必要があります。民間企業にもインテリジェンスが求められており、我々も情勢を集約したうえで論理立てたアドバイスをする必要があるのです」(大澤弁護士)。 企業経営やビジネスの遂行における大きな関心事になったとはいえ、各企業の法務担当者のすべてがこの業務に即応できるわけではない。「我々が行うべきは、マクロな国際情勢等をそのまま情報提供するだけでなく、それを咀嚼して各企業の状況や案件事情等と紐づけて分析し、各企業が具体的にどう対応すべきかを示すことです。たとえば、ある対露制裁が公表された場合、直接的な影響の分析はもちろん、今後の欧米・日本の制裁動向を予想しながら各企業がどのようなポジションをとっていくべきか判断材料を提供しなければなりません。もはや従来のコンプライアンスを超えた問題なのです」(大澤弁護士)。長島・大野・常松法律事務所

元のページ  ../index.html#52

このブックを見る