Lawyers Guide 2024
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42点について説明する。 「たとえばアクティビスト株主の提案を受けた企業側では、弁護士が経営陣と今後の対応を網羅的に協議し、提案内容の個別具体的な検討をすることに限らず、当該アクティビストの個別の性質や実績等を踏まえ、相手の次の手や、プロキシーファイトやキャンペーン活動、株主総会での動議、さらにはTOBの可能性といった、株主提案に限らない今後の展開を睨みながら、迅速に対応策を講じる必要があります。同分野における数多くの実績に加え、多様な分野で研鑽を積んだ個々の弁護士の知見をワンチームで活かすという当事務所のカルチャーも、そうした複眼的な対応の検討が求められる場面で大いに活かすことができています」(田畑弁護士)。 同時に、企業により透明性が求められ、株主からの関心が高まっている昨今では、取締役の善管注意義務違反についての相談も同事務所には多く寄せられる。 「経営陣には積極的な経営判断が求められる一方で、裁判所から事後に善管注意義務違反と認定される事態は避けなければなりません。とはいえ、事業経営にはリスクがつきものであり、積極的な経営判断の結果として会社に何らかの損害が生じたからといって、取締役の善管注意義務違反が容易に認められるようであれば、経営の萎縮等につながり結果として会社や株主の利益になりません。さまざまな経営判断上の失敗について“どこまで許容されるのか”といった基準は判例上不明確であることも多く、事業面・法律面双方に関する深い調査・分析を経てようやく具体的な内容が見えてきます。特に善管注意義務違反の問題では、関連する法律のみならず当該事業や業界の常識に精通していることが重要です。当事務所では、事業面についても背景事情等から十分に理解できるよう、常に新しい情報を収集して業界知識をフォローし、またご依頼者様と事業面の議論をすることも厭いません」。葛西悠吾弁護士は、紛争からコーポレートまで会社法に関する相談に広く対応し、企業側のみならずアクティビスト側からの相談にも豊富な経験を有する。 「善管注意義務違反の問題では、裁判所の示す基準が不明確だからこそ、過去の裁判例や文献を隅々までチェックするだけでは不十分な面もあります。抽象的な基準の中で取締役が莫大な損害賠償請求を追及されるといったケースも見られますが、当事務所では顧問として在籍する裁判官経験者や法学者等とも個別に議論を重ねて検討を行うことで、ご依頼者様をそうした司法の不確実性リスクから守る努力を行っています」(葛西弁護士)。海外法律事務所や各専門家と連携しワンストップでサービスを提供 同事務所では知的財産全般に対するリーガルサービスを提供し、アートやファッション等をはじめとした国内外で増加する模倣案件等にも強みを持つ。 「不正競争防止法等の知的財産権に関わる法分野では、まだ確立した答えのない最新の論点が多々あります。当事務所には、経済産業省で模倣対策専門官を務めた弁護士も在籍し、知的財産を専門とする法学者や知財部の元裁判官等知財分野における多くの専門家との連携も有しています。見解の割れる最先端の論点についても、知財分野で経験のある弁護士が各専門家と連携し、深い調査や議論を尽くしてご依頼者様のために最善のアドバイスを提供できることが、当事務所の知財分野における強みとなっています」(大野徹弁護士)。 最近も、先例がないに等しい先進的なアート作品が海外で模倣された事案において、日本企業の委任を受けて複数の海外事務所を統括して全体の戦略検討から具体的な書面作成まで指揮をとり、侵害会社の著作権侵害を認める勝訴判決を得たという。 同事務所は多くの日本企業がブランドを展開する中国や米国をはじめ、世界各国に協力関係を有する現地法律事務所を持つ。「バックグラウンドの異なる各国事務所との協議を通じて、ご依頼者様が自社のブランドを守るためのベストな方法や、権利侵害等の問題に対する最良の解決方法のご提案が可能です」(大野弁護士)。田畑 早紀 弁護士Saki Tabata葛西 悠吾 弁護士Yugo Kasai大野 徹 弁護士Toru Ohno

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