Lawyers Guide 2024
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37パートナー。大阪大学法学部卒業。92年弁護士登録。96年ペンシルバニア大学ロースクール卒業(LL.M.)。97年ニューヨーク州弁護士登録。クデール・ブラザーズ法律事務所ニューヨーク事務所および東京事務所等を経て現職。東京弁護士会所属。パートナー。東京大学法学部卒業。首都大学東京法科大学院修了。上海交通大学国際教育学院修了。09年弁護士登録。国内の有力事務所等を経て現職。東京弁護士会所属。“単なる情報提供”に価値はなくクライアントのビジネスに有用な知恵を提供する 「クライアントが求めているのは、“特定の法的問題に対する答え”ではなく、直面する具体的な“課題の解決”です。業務はさまざまで、案件ごとに必要となる知識・知見やアプローチは異なりますが、リスクを指摘するだけでなく、“どのようにすればリスクを軽減してビジネスにつなげることができるか”というより踏み込んだアドバイスが重要です。これを常に念頭に置き、クライアントに寄り添ったサービスを提供できるよう心がけています」。藤田直佑弁護士は、2021年4月から同事務所に参画した。一般企業法務から契約法務、国内企業のM&A、組織再編、資金調達、ガバナンス、コンプライアンスなど幅広く携わり、中でもM&Aでは上場企業・非上場企業を問わず年間で数十件の案件に関与するという。バーとして当該会社のあるべき姿を積極的に提言することにより、コンプライアンス事案へのより踏み込んだ対応のあり方を示すことができたという案件がありました。ただ、企業不祥事の原因は往々にして企業風土にも関わるなど根深く、不祥事が発生した際に再発防止策を策定するといった短期的な対応だけでは“真の解決”とは言いがたい場合もあるでしょう。不祥事の原因として社風や企業風土が影響しているのだとして、それを変える必要があるとしても長い時間と地道な努力が求められるはずです。弁護士としてクライアントとともにそのような過程に関与していくことは社会にとっての意義もあり、やりがいもあると思います」(栗林弁護士)。そのためにも、専門性を磨き、コロナ禍で希薄になりつつあった世界各国の提携法律事務所との交流にも再度力を入れることで国際法務への対応をより厚くする。試行錯誤しながらも、事務所の方針はぶれることなく、常に先に向かって走り続ける。 「上場企業であれば法務に精通している人員が多く、問われることも情報開示や市場への影響をも意識したものになります。一方、スタートアップや上場準備会社などでは社内における法務のリソースが相対的に少なく、また、ビジネスを軌道に乗せることに重きを置いたアドバイスが求められる傾向にあります。気を利かせるべき部分が異なり、それぞれに難しさがあります。共通するのは、単に情報を提供するだけでなく、プラスアルファとなる有用な知恵まで提供できなければならないことです。情報を得やすくなっている中で、あえて外部の専門家に相談するからには、通り一遍のアドバイスを提供しているだけでは満足してもらえません。 自身のキャリアの特徴として、複数の上場準備会社へのサポート経験に加えて、証券会社の上場アドバイザリー部門への出向を経験し、実務担当者が苦労するところ、監査法人や証券会社といった関係者とのやり取りなどを間近で見てきたことから、IPOを目指すスタートアップ等に対しても、寄り添ったアドバイスができます」(藤田弁護士)。 藤田弁護士は中国での実務経験も有し、インバウンド・アウトバウンド投資やクロスボーダー取引も手がける。 「日本企業による対中投資が活発であった頃から、現在の状況に変化していく過程を現地に駐在しながら肌で感じてきました。サプライチェーンの見直し、現地法人の再編・統合などに加え、撤退する企業も少なくありませんでした。設立から数年後の撤退まで携わったこともあります。自身の実務経験、当事務所が構築してきた現地法律事務所との連携体制に加え、曾我法律事務所との統合によって、中国をはじめとするアジア法務のサービス提供体制が整っています。 いまや情報提供だけで価値になる時代は終わり、これを超えた“付加価値をどれだけ与えられるか”が重要になっている中で、法的問題だけでなくクライアントが直面しているビジネス上のその他の課題にまで目配栗林 康幸 弁護士Yasuyuki Kuribayashi藤田 直佑 弁護士Naosuke Fujita

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