Lawyers Guide 2024
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31▶所属弁護士等弁護士158名、弁理士5名、外国法事務弁護士6名(2023年12月現在)▶沿革1981年1月「石川・塚本・宮﨑法律事務所」を設立。1983年1月名称を「大江橋法律事務所」に変更。1995年5月上海事務所開設。2002年8月「弁護士法人大江橋法律事務所」設立。2002年9月東京事務所開設。2015年9月名古屋事務所開設 ライフサイエンス業界は、製品やサービスの研究開発においてヒトを対象とする情報収集が一般的に多く、また、上市後も情報収集が行われるほか、それらの情報を活用した新しいビジネスやサービスが模索されているため、個人情報の適切な管理、活用も重要である。 「健康情報の取扱いは、個人情報保護法やその他の法令、各種のガイドライン・ガイダンスに従う必要があります。たとえば、個人の氏名や患者ID等を削除した健康情報が個人情報に該当するか否かの判断は、医療機関側と受領企業側とで異なる場合があります。また、医療機関から個人データを企業が受領する場合、本人の同意を得る場合以外の方法もありますが、実際上の運用は容易でないことがあります。さらに、海外に駐在する人に診療相談サービスを提供するような場合、欧州であればGDPRの規制も考慮する必要があります」(小山弁護士)。 「共同研究や開発の場合も、協働者間でのデータの移転等が問題になることがあります。なお、アジア諸国ではGDPRを参考とした個人情報保護法を制定する国が増えつつあり、注意が必要です」(廣瀬弁護士)。 また、ライフサイエンス分野は、ヒトの生命・身体に関する製品・サービスを扱う以上、万が一にも健康被害が生じた場合、多数の利用者から多額の損害賠償を求められるリスクがある。また、多額の研究開発投資が必要となるような医薬品などのライセンス契約や共同研究開発では、紛争時の対象額も大きくなりうることにも注意が必要だ。 「当事務所には、大型訴訟や仲裁案件の経験を有する弁護士が多数所属しており、紛争解決の視点を持ちながらアドバイスをすることができます。なお、リコールの場合、当局から命令を受けてすることはほぼなく自主的に行うのが通常ですが、そのようなリコール対応に豊富な経験を有する弁護士も所属しています。実務的視点を踏まえ、慎重かつスピード感を意識した対応やアドバイスができるよう心がけています」(廣瀬弁護士)。ライフサイエンス・プラクティスの基礎大江橋法律事務所の若手育成力 既に見たように、ライフサイエンス分野を法的にサポートしていくためには、法に対する総合的な知識と理解、そして応用する力が不可欠である。 「当事務所では、若いうちから、訴訟、倒産、会社法、知財、コンプライアンス、取引案件等に関する事案に広く関わるよう指導されます。このことは、ライフサイエンス分野の実務でも非常に役に立ちます。たとえば、ライセンス契約などでも“倒産したらどうなるのか”“紛争予防のために何が重要か”などを考えたうえでアドバイスができます。また、一つの分野にとどまらない広い視点が、企業の経営層との対話にも役立ちます。しっかりした基礎力が、個々の弁護士や事務所自体の力を伸ばすことにつながると考えています」(廣瀬弁護士)。 「契約書の文言をレビューするときでも、なぜこの文言が入っているのか、その理由や背景を経験上も理解していると、クライアントへのアドバイスに説得力が出ると思います。たとえば、“この条項はどうでしょうか”と聞かれた場合に、“過去にこのような紛争になったことがあるため削除した方がよいですよ”とその先のリスク度合いについても具体的な説明をしながらアドバイスをすると、クライアントも裏づけが理解できて納得されやすくなりますね」(小山弁護士)。 同事務所の幅広な経験蓄積が、後に経営層との対話、法律実務の対応の入口においての広い論点整理、適切なチーム編成を行うことなどにつながり、クライアントへ質の高いサービスを提供することを可能としている。

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