Lawyers Guide 2024
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AさんBさんCさん9官民向け地理空間情報コンサルティング企業法務・コンプライアンスグループ管理職大手ゲーム会社の法務部、内部統制部などを経て現職。国・自治体との仕事も多い社員2,000名を超える企業において、法務コンプライアンス部門の責任者として生成AIの活用推進に向けて奮闘中。決済サービスプラットフォーム企業法務部グループ金融機関等で地域経済分析を担当した経験も。1年前に現在の会社に転職し、社内でのニーズの高まりを受けて生成AI活用のルール作りなどを主導。全国1,000店舗以上を構える大手チェーン法務グループ管理職全体で従業員1万名を超えるグループの法務・リスク管理を担当。知財や意匠についても深い見識を持ち、法務パーソンとして意匠法改正にも関わった。生成AIの導入状況と各社が抱える課題とは?濱野弁護士ChatGPTや画像生成AI、プログラミングを支援するコード生成AIなど、各社でどのようなものを導入されているのか、あるいは導入を検討されているのかについて、教えていただけますか。Aさん 現在は特定のメンバー間で試験的に導入を進めている段階で、まだ全社的な本格導入には至っていません。生成AIの中でもまず導入を進めたいと考えているのがChatGPTで、一部の社員が使い始めているところです。画像生成AIやコード生成AIは、当社ではそれほどニーズは高くないようですが、画像生成AIについては「セミナーや研修用の資料を作成する際に使いたい」とか、コード生成AIについては「自社商品・自社サービスのシステム構築・プログラム開発の際に実験的に使いたい」といった要望が、少ないながらも届いています。Bさん 当社の場合は、リソースが逼迫していた開発部から「GitHub コパイロットを使いたい」という要望があったことから、生成AI導入検討チームが組成され、同チームにて社内規定等のルールを制定し、開発部門での導入を実施しました。GitHub コパイロットの導入により、実際にコーディング業務の大きな時間短縮になっています。一方、事業全体のアーキテクトを担う人たちからは、「ChatGPTを�壁打ち�に使いたい」という声が増えてきています。GitHub コパイロットよりもChatGPTの方が扱う情報のリスクが高くなるので、「どのような形で社内に開放すればよいか」など、法務としては悩ましさを感じているのが現状です。Cさん グループとしてDXによる業務改革を進める中で、生成AIの導入には大きな課題感を持っています。開発チームでは「コード生成AIをどんどん活用したい」と考えますし、広告のチームであれば「コピー作成などにChatGPTを使いたい」という要請があります。グループ内でもそれぞれがバラバラに生成AIについての取組みを進めているのが現状で、それらの取組みを統括する情報共有のしくみ作りやルール作成などが急務だと考えています。濱野弁護士 実際に生成AIの導入や検討を進められる中で、たとえばセキュリティ面や法的リスク、漠然とした不安感など、導入の障壁となりそうなポイントはありますか。Cさん 当社の場合、「生成AIが実際にビジネスで使えるものなのか」という精度の問題と、「情報流出や権利侵害といったリスクにどう対処するのか」といった問題の二つが大きなハードルになると考えています。たとえば、ChatGPTでは簡単に�回答�が得られますが、「それが正しいかどうか」は人が判断しなければなりません。そうした判断能力に長けた人材に厚みがあり、手を動かす人が足りない組織では生成AIは大きな力を発揮します。対して、判断能力に長けたマネジメント層が脆弱な組織で生成AIを活

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