Lawyers Guide 2024
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113▶所属弁護士等弁護士15名、外国弁護士1名(2023年11月現在)▶沿革2016年8月設立▶過去の主要案件主に上場会社・金融機関等の企業に向けて、会社法・金融商品取引法、M&A・企業再編、株式報酬等のコーポレート案件や、労務案件、訴訟・紛争案件、国際取引案件、Fintech法務、スタートアップ支援(ひな型無料キット「KIQS」(キックス)法的監修)等変わらぬ“Going Extra Mile”顧客の伴走者・よき理解者であり続けるために “Going Extra Mile”(もう1歩先まで一緒に)が同事務所のポリシーである。その実現のために実践しているのが、顧客のステークホルダーを見据えた法的アドバイスだ。 「法的な問題に直面した場合、法務部があれば、問題発生部署は法務部を通じて私たちに相談されるのが一般的です。法務部の方々が議論をうまく整理してくださる一方で、事業部・営業部など現場の方からは、相談の際に“現場が本来聞きたいことが肌感覚として伝わっているか”という不安をお聞きすることがあります。この不安を解消するために、想像力を働かせて、現場が困りそうな論点を提示するなど、内部・外部それぞれで通りのよい成果物の提供を心がけています」。 こうしたポリシーのもと、同事務所は、“伝統的企業法務”“国際企業法務”“先端的企業法務”の三つを主要業務としている。 伝統的企業法務では、最近、兼職取締役への情報の遮断と彼らのノウハウ等の活用の両立に悩む企業から次々と相談が寄せられているという。「兼職する取締役に対して過度に情報接触を警戒して自社の情報を提供しない場合、適正な善管注意義務を果たせないおそれがあります」と、山下弁護士は指摘する。 国際企業法務では、海外子会社管理に苦心する企業が今でも多いという。山下弁護士は「海外子会社のコンプライアンス体制強化のためには、実際に足を運ぶ往査に加え、現地と本社担当者との腹を割った話し合いによる信頼関係作りが不可欠」と見解を語る。 先端的企業法務では、まだ法整備がされていない生成AIで利用する画像・映像の個人情報や肖像権、文章の著作権の問題に悩む企業から新たな課題に対する相談が寄せられている。 「たとえば、音声データの声紋にはどのような権利性があるのか。また、画像・映像データはどこまで加工が許されるのか。法律とモラルの境目にどのように対応すべきか――つまり“人権とビジネスの両立”が課題ですね。また、ビジネスに落とし込む際のルールメイキングや契約書・規約についてもアドバイスを求められることが多々あります」。それぞれの個性を活かしチームワークで顧客の利益を創出 現在、同事務所には15名の弁護士、1名の外国弁護士が在籍している。その中で大切にされているのが、“個性の重視”と“チームワーク”である。 「“紛争において本質をズバリと指摘できる力”“たくさんの関係者をうまく調整する力”“ニッチな法律を深く掘り下げる力”“綺麗かつ正確な書面を作成する力”など、個々の弁護士の強みはさまざまです。そうした“個”の力を尊重し、それを重ね合わせて化学反応を起こし、最大限の力を発揮できる体制が、事務所としての強みと考えています」。 このチームワークを高めるためのしくみとして取り入れているのが、同事務所独自の人事システムだ。 「“仕事をとる”ことと“実際に仕事をする”こと、法律事務所にとってどちらの価値が高いか。これは永遠に論争されているテーマです。私たちは、双方を同等に評価することでチームとしての結束を強めています。それは顧客の利益にもつながっていると思います」。 弁護士個人の人柄や教育だけに依存せず、チームワークを機能させるためのインセンティブを明確化する。このような多くの法律事務所とは異なる経営方針を実装している点も同事務所の特長であり、顧客の利益を最大化する武器であるといえよう。山下 聖志弁護士Seiji Yamashita98年東京大学法学部卒業。02年弁護士登録(東京弁護士会)、柳田国際法律事務所入所。05~07年国内大手証券会社法務部門出向。10年米国ミシガン大学ロースクール卒業(LL.M.)。11年ニューヨーク州弁護士登録。12年柳田国際法律事務所パートナー就任。16年山下総合法律事務所設立。現在、同代表パートナー弁護士。

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