Lawyers Guide 2024
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99▶主な所属弁護士会大阪弁護士会▶所属弁護士等弁護士5名(2024年1月現在)▶沿革鳩谷邦丸が昭和48(1973)年に設立した「鳩谷法律事務所」を前身として、平成元(1989)年4月、鳩谷邦丸と別城信太郎によって事務所名を「鳩谷・別城法律事務所」として設立された。その後、山浦美卯のパートナーとしての参加に伴い事務所名を「鳩谷・別城・山浦法律事務所」に変更し、現在に至る▶過去の主要案件人事・労務問題を中心とし、会社法・金融商品取引法関連分野、金融法関連分野、知的財産権法関連分野をはじめとする企業法務、宗教法人法関連分野、倒産、一般民事等の幅広い業務を取り扱う“勝ち”といえるでしょう。しかし、“その企業としての正義を証明するためには1円も払うべきではない”という信念のもと、結局、最高裁まで争ったことがあります。裁判にかかった費用を考えれば、和解金のほうがはるかに安いのですが、こうした“正義”は各社によって異なりますし、事案によっても異なります。それゆえに、AIで処理はできないのではないでしょうか」(山浦美卯弁護士)。法改正や最新の実務に対応した顧客へのタイムリーな情報提供 山浦美紀弁護士は、ハラスメントを中心に精力的に執筆・講演活動を行っている。「パワハラの場合、“指導”か“ハラスメント”かの線引きが難しいので、事実認定と評価を適切に行うことが求められます。まずは当事者間の聞き取りやメールなどのチェックにより事実を把握し、次いで裁判例や法令等を参考に評価をします。その結果に応じて、ベストの対応法をアドバイスします」(山浦美紀弁護士)。 また、同氏は「顧客へタイムリーなアドバイスを行うためには、豊富な経験に加えて労働法特有の頻繁な法改正に対応した知識を蓄えておくことが重要」だと指摘。その具体例を、別城尚人弁護士は次のように語る。「就業規則や内規・基準などを確認させていただくときに、法改正に対応できてない点や、実務観点から適正に欠ける点などについては、条項の最適化を図るための提案やその企業に合わせた制度などについての具体的なアドバイスを提供しています。また、これまでの制度に変更を行う場合や、新制度を導入する場合には、一定の準備が必要となります。そのため、社員の皆様に向けての説明会の開催やシナリオ作成、資料や準備のサポートなども行っています」(別城尚人弁護士)。 そうした最新法令のキャッチアップなどを前提として、アドバイス内容についても依頼者ごとに個別的な対応が求められる。「リスクだけを棚卸してほしい場合や“その先どうしたらいいのか”までの助言を求めている場合など、企業のニーズに合わせて情報提供するように心がけています」(西本杏子弁護士)。 また、同事務所では労働法研修に力を入れており、「事例がわかりやすい」と好評な寸劇も含んだ2日にわたる本格的なメニューもあるという。「法改正の内容自体だけを説明しても、あまりおもしろくないですよね。そこで、たとえば、育児休業について部下から“妊娠した”という報告があったときにどのように対応していけばよいかなど、法的な側面に加えて、具体的な対応方法についてもお話したりします」(西本弁護士)。使用者側弁護士の社会的意義  別城信太郎弁護士は、「なぜ使用者側の人事労務紛争を担当するのか」と司法修習生に聞かれることがままあるという。同氏は、それに対し「それは使用者側の立場から労使関係を適切に調整するためです」と答えるという。 「たとえば、人事労務関係の制度変更をする場合、それが違法なものであったり、違法ではないとしても紛争が生じる可能性があれば、その点を指摘することは企業にとっても重要なことですが、その指摘を踏まえて企業が制度変更を行うのであれば、結果として、従業員の権利や生活を守ることにつながります」(山浦美卯弁護士)。 「職場のハラスメントにおいても、弁護士がアドバイスして使用者が法律で求められている措置をとることによって紛争を防止することができ、また、仮に紛争に発展しても適切に対応することができます。これが、ひいては職場環境を改善することにもつながるのです」(山浦美紀弁護士)。 「使用者としては、“できるだけ紛争を避けたい”“もし紛争に発展しても適切に解決したい”という思いがあるので、使用者側弁護士の役割はそれに応えて適切な労使関係を構築、調整することにあると思っています」(西本弁護士)。 「人事労務紛争は、法と当事者意識のギャップが大きい分野の一つといえます。適切な紛争の解決や予防を達成するためには、法令や裁判例の内容をわかりやすく整理して、重要ポイントを依頼者に理解していただくことが前提となります。そのうえで、ケースバイケースで柔軟な対応や提案ができることが、弁護士に求められていると考えます」(別城尚人弁護士)。

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