Lawyers Guide 2024
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97男性弁護士も育休取得ダイバーシティ感覚を法的サービスへ還元▶主な所属弁護士会第二東京弁護士会▶所属弁護士等49名(外国法事務弁護士1名および出向により弁護士登録を抹消中の弁護士を含む)(2024年1月現在)▶沿革1995年、東京地検特捜部検事等を歴任した矢田次男弁護士が中心となり設立した総合法律事務所。2018年にロサンゼルスオフィスを開設。2024年1月より新事務所に移転の課題も移り変わる。「昨今は独禁法が絡む問題が増えてきました。“これは気をつけた方がよい”というアンテナは、当事務所で広く経験してきたからこそのものだという実感があります」(鳥居弁護士)。 「確かに最近は、相談の内容が多角的・立体的になっています」と語るのは劉セビョク弁護士だ。「たとえば、新規事業の初期段階でざっくりとした相談が来る場合がありますが、そこからゼロベースでどのようなリスクがあるかを調べ始めるようなレベルでは顧客のスピードに応えられません。多様なアンテナを持てばこそ、複合的な案件の見立ても可能になるのです」(劉弁護士)。 「“ファーストインプレッションとして何が答えられるのか”、それが弁護士としての“総合力”です」と語る小林敬正弁護士は、週2回、企業の法務部に出向している。「法務は事実上、社員と私の2名だけ。ありとあらゆる契約書から、独禁法、労務に至るまで、幅広い案件をこなしますが、当事務所内のプラクティスグループで最新の情報交換をしているので心強いです」(小林弁護士)。弁護士各人の研鑽や所内の情報交換によるアンテナの共有によって、クライアントに高レベルの法律サービスを還元できるという。 小林弁護士は男性の育休取得者だ。同事務所では育休規定が整備されており、必要があれば期間も延長できる。「当事務所では初めての男性育休取得者となりましたが、私の仕事はパートナー弁護士はじめ、所員が快く引き受けてくれました。当事務所には、鳥居弁護士のように複数回育児休暇を取りつつ素晴らしいキャリアを築いている先輩がいますので、安心して育休を取得し、育児に注力することができると考えています」(小林弁護士)。 「“弁護士は法律だけを知っていればよい”という時代ではありません。育休は男女問わずキャリアにマイナスなものではなく、ダイバーシティの重要性を肌で感じ、多様な考え・経験を持つことで、クライアントに対するサービス品質向上につなぐことができます。実際、子育ての中で社会の動向を感じる場面もあり、社外役員を務める際にも役立っています」(鳥居弁護士)。 劉弁護士は「所員の結びつきを強めることは、所員の心理的安全性の確保だけでなく、弁護士育成の観点から意識的にそうしている側面もあります。弁護士の仕事は、現場での論理的思考やアプトプットだけでなく、日常的なインプットによる研鑽が肝要です。コミュニケーションコストを抑え、素早く先輩からナレッジやノウハウを吸収する、示唆を与えられる環境が大切です」と強調する。劉弁護士のこの言葉は、同事務所の人的資本への考え方を端的に言い表している。 同事務所の女性弁護士は12名。これは全弁護士のうち約25%にあたる数字である。2年目の守屋沙織弁護士は、事務所を選ぶにあたり、“女性弁護士も働きやすい環境であるか”を慎重に確認したという。「実際に入所してみると、女性も活躍できる環境があり、多様性を持つ先輩方から手厚いフォローをいただけるメンター制度も備わっており、気軽に相談できる環境がとてもよいと思っています」(守屋弁護士)。 こうした取組みが評価され、同事務所は第二東京弁護士会が先進的なワークライフ・バランスを実施している法律事務所を表彰する「第9回ファミリー・フレンドリー・アワード」を受賞した。業務のIT化・効率化を含め、各弁護士の働き方を事務所がバックアップするという体制整備の賜物といえよう。 弁護士がワークライフ・バランスを実現して笑顔になる。そのことが、実はクライアントの利益に直結し、クライアントの笑顔につながる。 のぞみ総合法律事務所の“のぞみ”は、こうして叶う。

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