Lawyers Guide 2023
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ある程度法的整理を見据えた上で私的整理を進めなければうまく解決はできません。また、この分野では、債務者だけでなく債権者やスポンサーといった利害関係人が多く登場します。そのため、それぞれの利害関係人が置かれた立場を正確に理解し、法律やガイドラインといった武器を駆使して適切な調整を行わなければ手続が頓挫することになります。事実と理論を素早くつなぎ合わせて難しい局面を打開するという点で、弁護士としての腕が試されていると感じますね」(森弁護士)。 新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、法律相談に前例のない問題が持ち込まれることもいまだ多い。「中国のロックダウンの影響は、新型コロナウイルスによる不可抗力なのか、中国によるカントリーリスクなのかなど、前例のない事象の解釈についてご相談をいただくことが多いですね。判例もないため判断に迷うところもありますが、自身の経験を踏まえ、これまでの裁判所の考え方に基づいたアドバイスをしています」(森弁護士)。法と先方の文化を踏まえて、噛み砕いた説明を行うことでご納得いただきました」(高田弁護士)。 日本企業の海外進出の際には、現地事務所との協力関係が必要になるが、同事務所は世界各国の法律事務所のネットワークであるTERALLEXに加入しており、適切な法律事務所と協力体制を築くことができる。「インバウンド案件などの紹介があることはもちろん、普段つながりがない国の案件でもTERALLEXに加入している弁護士事務所を通じて協力することができます。世界の各地域をカバーしているのでスピーディーに確実に海外案件のご相談対応が可能です」(高田弁護士)。77■主事務所の所属弁護士会大阪弁護士会■所属弁護士等弁護士30名、外国弁護士4名(2022年12月現在)■沿革1942年5月、仮差押・仮処分制度研究のパイオニアとして名高い故・吉川大二郎弁護士によって創立田中 宏 弁護士Hiroshi Tanaka  クライアントのニーズに最適な 国際案件サポート体制を構築 ニューヨーク州弁護士であり、一般の企業法務案件のほか国際法務などを手がける高田翔行弁護士は、外国企業の代理や日本企業の海外進出、海外ベンチャー企業への投資、国際M&Aなどを多く扱う。日本企業のビジネスがグローバルに広がる中で、対象国は欧米とは限らない。「以前担当したのは中東のクライアントの案件で、日本と現地では法体系がまったく異なりました。日本の裁判所の判断と日本法を理解いただくことが難しい場面もありましたが、現地森 拓也 弁護士Takuya Mori高田 翔行 弁護士Shogo Takada 幅広い案件への対応力を持つ 次世代の若手弁護士育成を 入所3年目の吉岡沙映弁護士は、同事務所と顧問契約を結ぶ企業の契約書のチェックや、紛争案件、第三者委員会の調査など幅広い分野の案件に携わっている。「以前から関心のあった国際法務にも、少しずつ挑戦しています。原則として複数名で受任するため、経験年数の異なる弁護士間で多角的な視点から議論を重ね、よりよい解決を探究できる点が強みかと思います。若手の弁護士も主体的に案件に関わることができる環境です」(吉岡弁護士)。吉岡 沙映 弁護士Sae YoshiokaDATA

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