Lawyers Guide 2023
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に、企業が抱える悩みや要望を政府に伝える橋渡し的な取り組みにも力を入れていると話す。携による政策の見通し、地政学リスク・国際情勢の変動による法令変更の可能性に対する見立て、ルール化されていないソフトローへの対応や、一見すると安全保障の問題と分かりにくい問題への対処を含む、非常に複雑な課題です。これらの事項は、目まぐるしく状況が変わっていくことが予想され、だからこそ、情報収集とその正確性が極めて重要といえます。当事務所では、公開情報だけでなく、米中欧の拠点との意見交換や現地訪問、外国の専門家とのネットワーキングの構築を重視しています。また、従来の法律・コンプライアンスに関する情報にとらわれない、政治動向や通商政策も含めて幅広い情報収集にも努めており、そうした知見に基づく戦略的なアドバイスを提供していきます」(桜田弁護士)。 いずれの弁護士も、「事業規模の大小を問わず、幅広い企業が経済安全保障上のリスク分析を早い段階で行うべき」と強調し、同事務所としてもそれをしっかりとサポートしていきたいと力強く語る。57■所属弁護士等■主な取扱業務分野▽M&A▽コーポレート▽ファイナンス▽リアルエステート▽事業再生/倒産▽争訟・国際仲裁▽知的財産法/情報法/データ保護▽危機管理▽独占禁止法/競争法▽税務▽労働/人事▽消費者法▽通商法/投資法▽国際関係法務▽ウェルスマネジメント▽公益的活動▽インフラ/エネルギー・再生可能エネルギー/資源▽アグリフード▽ライフサイエンス/ヘルスケア▽IT/メディア/エンタテイメント▽テクノロジー▽デジタルトランスフォーメーション(DX)/デジタルイノベーション▽アジア▽中東▽ヨーロッパ▽北米▽中南米▽アフリカ▽オセアニア■近時の受賞歴 ▽The Asia Legal Awards 2021にてAsian Law Firm of the Yearを受賞▽ALB Japan Law Awards 2022にてJapan Law Firm of the Yearを4年連続受賞▽FT Innovative Lawyers Awards Asia-Pacific 2022にてMost Innovative Law Firms in Asia-Pacificの総合順位において4位に選出▽Thomson Reutersが実施する法律事務所のリージョナルブランド調査であるRegional Law Firm Brand Index 2022にてアジア太平洋地域において5位に選出▽Mergermarket Japan M&A Awards 2022にて法律事務所の中で最優秀賞のM&A Legal Adviser of the Yearを含む最多の部門数を3年連続受賞▽Women in Business Law Awards Asia-Pacific 2022にて日本の法律事務所で唯一の受賞となるJapan Firm of the Yearを受賞▽Chambers Asia-Pacific 2022にて多岐に渡る分野が高く評価されて日本の法律事務所の中で最多の事務所ランキングを獲得DATAパートナー/外国法パートナー/法人社員232名、アソシエイト/法人アソシエイト482名、オブカウンセル8名、カウンセル/外国法カウンセル74名、税理士/弁理士/アドバイザー23名(2022年12月現在) *一部の提携事務所およびアライアンス事務所を含む サプライチェーンの強靱化に向けた 法的ツール 2022年5月に成立した経済安全保障推進法では、重要物資のサプライチェーン強化についても強調されている。独禁法・競争法や国際通商法の知見を活かしつつ、広く通商に関する案件に携わる藤井康次郎弁護士は、「重要資源の安定的、効率的調達のためには、寡占・独占や取引条件の改善に向けて独禁法を戦略的に活用して対応していくことや、外国政府による天然資源の輸出制限に対しWTO協定を活用することが重要です。また、日本企業の海外権益の保護には諸外国との投資協定が活用できます。実際に、鉄鉱石やLNGの調達に関連して、日本の産業界と政府が連携して、日本の独禁法を使って問題の解決にあたりました。また、中国のレアアースの輸出制限についてはWTO協定に則り解決がなされました」と話す。 「また、経済安全保障推進法には、“外国の不公正な貿易によって自国の産業基盤が損害を受けるような場合には、日本政府が能動的にWTO協定に基づくアンチダンピング措置や補助金相殺関税措置などを活用する”との趣旨も入りました。これらの措置は、中小企業も含めて活用した実績があります」(藤井弁護士)。 リスク分析を早い段階で行い 今後の規制強化に備えるべき このように、経済安全保障に関して企業が直面しうる問題は、米中を含む関係国の政策・法規制、国際通商、競争法、投資スクリーニング、日本企業の外国投資保護、安全保障貿易管理、経済制裁、知的財産、サイバーセキュリティ等、多くの法分野や政策が複雑に絡み合う。こうした問題に対して有益なアドバイスを提供するためには、各法分野について豊富な知見・経験を有する弁護士が多数在籍し、また、政府機関への出向や海外法律事務所との人事交流等を積極的に行っている西村あさひ法律事務所の人材の厚みが、大きなアドバンテージになるのは間違いない。 「経済安全保障は、関係国の政策や国家間の連

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