00年東京大学法学部卒業。06年弁護士登録。12年Duke University School of Law卒業(LL.M.)。専門領域は、M&A・コーポレート、経済安全保障ほか。第一東京弁護士会所属。07年弁護士登録。15〜19年シンガポールオフィス勤務、19〜22年財務省大臣官房企画官(国際局調査課)。在任中、外国投資家による対日投資規制強化等を内容とする外為法改正を含む2度の外為法改正(19年、22年)、ロシア向け新規投資禁止などの経済安全保障関連施策に携わる。専門領域は、経済安全保障、投資規制ほか。第一東京弁護士会所属。明確化され、2022年5月から施行された。これは、居住者であっても、明らかに外国政府等や外国法人等から影響を受けていると認められる者に特定技術を提供する場合には、事前に経産省の許可を取らなければいけないという内容だ。「施行から間もないということもあり、経産省のガイドラインに載っていないような個別ケースにおける対応に苦慮する企業も多い」と淀川弁護士。みなし輸出規制は、優秀な技術者や研究者の確保や、外国人の受け入れ対応にも密接に関係するため、人事・労務戦略から見ても重要性は高い。 また、外為法の改正等を通じて、2020年には対内直接投資規制が強化された。この際、桜田弁護士は財務省で大臣官房企画官として勤務しており、外国投資家による上場企業の株式取得に係る事前届出の閾値を10%から1%に引き下げること、外国投資家が、自らの関係者を取締役や監査役として投資先企業に送りこむことについて議決権を行使すること、事前届出の対象業種を広げることなどを内容とする外為法改正の制度設計・立案を担当した。 「“対内直接投資規制”とは、重要な技術や重要インフラを有する企業に対する海外資本による買収や出資等を規律するルールです。近時の規制の強化を通じて、例えば、先端技術・機微技術を有する企業や重要なインフラ企業だけではなく、ソフトウェアやIT関連事業、レアアースなどの重要鉱物資源に関連する事業や、新型コロナウイルス感染症に関連する医療分野の事業を展開する企業にも規制の対象が広がりました」(桜田弁護士)。56神保 寛子 弁護士・ニューヨーク州弁護士Hiroko Jimbo桜田 雄紀 弁護士・ニューヨーク州弁護士Yuki Sakurada 厳格化する各国の外資規制は 資金調達やM&Aにも影響を及ぼす 米国や中国、ヨーロッパなど諸外国においても、投資管理に関する制度が新設あるいは強化される潮流にある。「こうした各国の規制は、資金調達やM&Aにも少なからず影響します」と話すのは、M&Aやジョイントベンチャーなどの案件に数多く関わってきた神保寛子弁護士だ。 「クロスボーダーでの資金調達や投資を行う際には、各国での投資審査制度を踏まえた対応が求められます。審査にはある程度の時間がかかるため、それがスタートアップの資金調達の障害になってしまう例も散見されます。日本企業同士のM&Aであっても、グローバルに事業を展開している場合には、海外での届出が必要になることも考えられます。また、例えば、米国に大きなオペレーションを持つ日本のハイテク企業を中国企業が買収しようとする際には、先程話題に上った米中対立の問題が生じ得ます」と神保弁護士は話し、従来にも増して日本および海外の外資規制がM&A取引のプランニングや取引成立の可能性、スケジュールに与える影響が増大していることを指摘する。 なお、神保弁護士は、内閣府の対日直接投資推進会議のアドバイザーを務めており、経済安全保障の専門性を踏まえたアドバイスを企業に提供するととも
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