Lawyers Guide 2023
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化に向けた取り組みを進めていますが、自治体によって抱える課題感はさまざま。例えば、“県や市の職員の方々のリテラシーをどう高めるか”といった課題についても、我々がサポートできればと考えています。また、“官”の側にいる方々が民間の事業者様と十分なネットワークを持つことは難しく、民間の持つ知見や技術・ノウハウなどにリーチできていないという課題もあります。そうした点においても、大手企業からベンチャー、大学まで、TMIの多様なクライアントが持つ知見や技術をマッチングするなど、官民をつなぐ“ハブ”としての役割が果たせると考えています」。そう話す中山弁護士は、インターネットやエンターテインメント、コンテンツ分野を専門とし、横浜市が誘致を目指した日本版IRプロジェクトでは法務アドバイザーを務めた経験も持つ。 「私のように自治体と協働した経験を持つ弁護士に加え、さまざまな省庁に出向した経験を持つ弁護士、さらには国家的なプロジェクトに関わってこられた境田弁護士や、参議院議員の古川俊治弁護士、衆議院議員の三谷英弘弁護士など、自治体と国をつなぐ役割を果たせる弁護士もTMIには数多く在籍しています。例えば、新たなイノベーションを既存の法律にどうあてはめるかなど、各自治体と国との調整が必要な場面などでは、そうしたTMIの強みも活かすことができます」(中山弁護士)。 前述したとおり、同事務所は日本国内の各所に拠点を持ち、それぞれの地域でビジネスを行うクライアントの近くでリーガルサービスを提供してきた。 「神奈川県の連携協定に興味を持った複数の自治体からお問い合わせをいただき、いくつかの自治体のトップの方々とは実際にお会いしてお話もしています。特に地方自治体では地元企業との連携を重視されるケースも多く、そうした場合はTMIが各地域で培ってきたクライアントとのネットワークも活かすことができます。また、デジタル化の進行度や意識だけでなく、例えば防災や有事対応、ヘルスケアなど、それぞれの自治体によって取り組むべき課題の優先度は異なりますので、各自治体の優先度に応じて柔軟に対応して実態に合わせたデジタル化の実現をお手伝いすることも、私たちの役割になると考えています」(古西弁護士)。 古西弁護士もまた、知財やIT、ブランド管理といった専門分野をバックグラウンドに、アウトドアブランドと地方自治体をつなぐビジネスの支援などを行い、国際的なスポーツ大会の組織委員会の法務メンバーとしても活躍した。 「地方自治体のご出身の方々や民間のパートナー企業から出向してこられた方々などさまざまなバックグランドを持つメンバーと、一緒に一つのものを作り上げていくという経験を重ねてきました。その中で、いかに住民の方々を巻き込んでプロジェクトを盛り上げていくかといった目線や、民と官の意思決定のプロセスの違いなど、さまざまな経験値を積ませていただきました。今回のプロジェクトではそうした経験を活かして、神奈川県をはじめとする自治体や住民の方々、そして企業が持続的に参画できるしくみが生み出せればと思っています」(古西弁護士)。48中山 茂弁護士Shigeru Nakayama04年東京大学経済学部卒業。06年弁護士登録(第一東京弁護士会)、TMI総合法律事務所入所。15年ボストン大学ロースクール卒業(LL.M.)。16年TMI総合法律事務所復帰。19年パートナー就任。山郷 琢也弁護士Takuya Yamago07慶應義塾大学法学部卒業。08年弁護士登録(第一東京弁護士会)、TMI総合法律事務所入所。18年UCLAロースクール卒業(LL.M.)。19年TMI総合法律事務所復帰。21年パートナー就任。 TMIにしかできない 日本の未来のための取り組み 地方DXの文脈では、近年、各自治体や企業がスポット的にネットワークを構築する“ローカル5G”に注目が集まっている。プロジェクトチームのメンバーである山郷弁護士は、総務省への出向経験を持ち、そうしたインフラサイドからのDX推進に強みを持つ。 「農業や水産業をはじめとする地方産業においては働き手不足が大きな課題になっていますが、ローカル5Gの活用を通じて、これらの課題解決につなげようという取り組みが進んでいます。例えば、農園で、ローカル5G環境を構築し、無人ロボットが収集した画像を解析することで、作物の収穫時期などをAIで判定する。あるいはダムや河川などにセンサーやカメ

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