Lawyers Guide 2023
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ベース戦略の立案や、政府や与党のスポーツDX戦略策定にも関わり、いずれも成功へと導いてきた。 「神奈川県などの自治体が抱える課題を解決するためのイノベーションを起こすには、法的な課題と技術的な課題の両面をクリアすることが必要です。例えば、自治体や企業が持つさまざまなデータを、法を遵守することはもちろん、住民の方々に心から納得してもらいながらどのように利活用していくのか。そうした手法やしくみ作りの部分で、アカデミアの先生方のご知見をいただいたり、我々の知見を活かし、かつ、技術的な課題については、技術的な知見のある民間の事業者様の力を借りて、よりよいイノベーションにつなげていくことが不可欠であって、そのための有識者検討会の設置を進めています。この点に関し、神奈川県の場合は、データ連携の取り組みが非常に進んでおり、基礎自治体とのデータ連携の検討も進められています。一方で、全国にはまだまだデータに関する取り組みが進んでいない自治体も多く、県と基礎自治体のデータのフォーマットが違っていたり、台風被害などで避難所に何名の方が避難されているのか、あるいはどのような物資が必要なのかといった情報を、手書きのFAXなどでやり取りされているようなケースもあります。最終的に我々が目指すのは、そうした災害時の避難情報や必要な救援物資などの情報が、データ連携によって即座に行政へと伝わり、迅速な支援につなげられるようなしくみを作ることです。“補助金で一時的に作って終わり”というものではなく、サステナブルに使えるデータ連携のしくみを、神奈川県から全国の自治体に広げていきたいと考えています」(白石弁護士)。47境田 正樹弁護士Masaki Sakaida05年弁護士登録(第二東京弁護士会)。10年独立行政法人国立がん研究センター理事長特任補佐。11年国立大学法人東北大学客員教授。11年内閣官房医療イノベーション推進室。15年国立大学法人東京大学理事、内閣官房政策参与。21年TMI総合法律事務所にパートナーとして参画。 官民一体となったイノベーションを目指す 同事務所では、協定締結に先駆け、境田弁護士を中心とする神奈川デジタルプロジェクトチームを創設。同チームの中心メンバーとなるのが、白石和泰弁護士、中山茂弁護士、山郷琢也弁護士、古西桜子弁護士ら、それぞれの分野での豊富な知見と経験を有する4名の弁護士だ。 「今回のプロジェクトでは、AIやIoT、ビッグデータ解析、ロボティクス、ドローン、ブロックチェーンなどの先端技術を利活用して、“いのち輝く神奈川”を実現することが目標です。この目標の実現に向け、①防災・有事対策分野、②ヘルスケア・メディカル分野、③スポーツ分野、④エネルギー分野、⑤農業・漁業分野、⑥観光分野、⑦交通・MaaS(自動運転)分野といった分野を主なターゲットとして、DX推進を図っていきたいと考えています。また、多くの企業関係者に参加いただく分野ごとの分科会やデータの連携や利活用のための技術や法的課題を解決するための有識者検討会を設置しはじめています。それら分科会を取りまとめるための親会として、「神奈川デジタル連携協議会」を設置し、その事務局としてTMIが機能していきます」。そう話す白石弁護士は、AIやドローン、自動運転車などのロボット、個人情報などのデータの利活用についての豊富な知見を持ち、企業のデータを活用したビジネス構築などに数多く関わった経験を持つ。既に2022年7月4日には、「防災有事対策分科会」の立ち上げの会合が開催され、黒岩知事や首藤健治副知事、同協議会の最高顧問に就任した初代国家安全保障局長の谷内正太郎氏のほか、電機、通信、自動車、保険業界などの日本を代表する企業や東京大学など、30を超える企業や大学の関係者が参加。活発な意見交換が行われた。白石 和泰弁護士Kazuyasu Shiraishi96年早稲田大学政治経済学部卒業。03年弁護士登録(第二東京弁護士会)、TMI総合法律事務所入所。13年ワシントン大学ロースクール卒業(LL.M.)。14年TMI総合法律事務所復帰。16年パートナー就任。 “官”と“民”、“地方”と“中央”をつなぐ “ハブ”として 先進国の中でデジタル化に後れをとる日本でも、近年は政府がスマートシティ構想やデジタル都市国家構想などの取り組みを推進し、地方からのデジタル実装を目指している。 「最近は、地方でも自治体や企業が本気でデジタル

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