Lawyers Guide 2023
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監督指針等の改正が問題になっている場合には改正に関するパブリックコメントをも確認した上でお答えすることも多いです」(太田弁護士)。 「銀行法の条文の中には、ある程度解釈に幅を持たせているような規定内容になっているものも存在するので、ビジネスを検討している銀行側としても判断がしづらい点は多いです。条文だけでは掴み切れない部分があるからこそ、体系立てて納得感が得られるような説明を心がけています。また、前述の銀行の業務範囲規制および子会社の業務範囲規制に反しないか等の銀行法に関する論点について、我々には豊富な案件経験がありますので、より説得的なアドバイスができる面もあると思います」(太田弁護士)。 銀行法から離れた内容に関していえば、銀行に求められる商習慣上の守秘義務に関する問題、顧客の個人情報の保護に関する問題の相談を受けることも多い。 「銀行が保有する顧客の個人情報のデータベースの活用については、“系列の証券会社において活用できるのか”、さらに“データ分析をどういった形でできるのか”という相談が、近年増加しています。この点は当事務所内で個人情報などの専門分野を持つ弁護士と連携しながら対応しています」(太田弁護士)。 銀行は、窓口で販売した投資信託や保険などの金融商品について損失が生じた場合には、顧客から金融ADRの申し立てを受ける場合もある。この場合、顧客が弁護士を選任していないことも多く、顧客の主張を法的に整理しつつ、適切な対応を組み立てることが重要になるという。 「金融ADRについては、係争金額自体は多額ではないケースも多いですが、窓口での対応や勧誘方法に問題があった場合には、メディアを巻き込んだレピュテーションに関わる問題に発展しかねません。こうした紛争へのサポートについては、大半のメンバーが紛争処理について専門性を持っている当事務所が特にお役に立てるところかと思います」(太田弁護士)。 黎明期の資金移動業に態勢整備も 事業者の規模に合わせて柔軟に 資金移動業者が依頼者になることも多い。資金移動業者は資金決済法による規制下に置かれるものの、規制遵守のための人手が豊富な銀行などの金融機関とは状況が異なるという。 「資金移動業者の規模は大企業から中小企業までさまざまです。法務担当者が十分に在籍している場合もあれば、法務担当とコンプライアンス担当が各1名だけという場合もあります。そのうえ、国内における資金移動業の登録事業者が80社程度と新しい分野で、また、資金決済法自体も金融関連法令の中では比較的新しい法律ということもあり、資金決済法について専門的知識を有している弁護士が必ずしも多くないため、金融規制対応に困っている事業者が多い印象を受けます」(覺道弁護士)。 覺道弁護士は2021年には金融庁総合政策局リスク分析総括課フィンテックモニタリング室に在籍し、資金決済法に精通しているため、資金移動業者の態勢整備の依頼を受けることが多いという。 「資金移動業者は未達債務についての資産保全義務、利用者の送金資金についての滞留規制等、資金決済法に基づく各種義務を負っています。特に近年、資金決済法・内閣府令・事務ガイドラインの大きな改正がなされたこともあり、改正対応についての相談も増えています。また、資金決済法および事務ガイドラインに基づいた法令遵守(コンプライアンス)体制の構築に関するご相談も多いです。対応の際には事業者の規模に応じて回答することが必要となりますが、利用者への影響が大きいサービスであるため、金融庁が納得する体制を構築する必要もあります」(覺道弁護士)。 まだ黎明期ともいえる資金移動業界では、コンプライアンスの担当者となる金融とコンプライアンス両方の知見がある法務人材が不足しており、企業のみでコンプライアンス体制を構築することが難しい場合も多いという。 「資金移動業者として登録はしているので、形式的には体制が整えられている場合でも、実質が伴っていない場合もあります。最たる例がマネーロンダリング対策ではないでしょうか。検査対応も見越し、“体制整備としてまず何をするのか”から事業者のみなさまと話し合いながら作り上げています」(覺道弁護士)。 金融分野への新規参入事業者へ 着実な一手となるアドバイスを提供 金融関連事業に新たに参入する事業者(既存事業者が新たなサービス形態への参入を検討するケース40

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