Lawyers Guide 2023
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米のシェールガス、シェールオイル権益取得のためのファイナンスや豪州LNG事業のプロジェクトファイナンスから、国内の太陽光、風力発電事業への出資やプロジェクトファイナンス等まで幅広い実績を持つ。 「エネルギー関連の法務については、多くの日本企業が今後海外へ投資を行うプロジェクトを検討しているところでしょう。そんなときに、渉外案件の経験と各自の専門性を活かして日本企業の力になっていきたいと考えています。海外事務所と比較し、日本の法律事務所はコスト面、日本語でのコミュニケーションなどクライアントにメリットも多くあります」(村上弁護士)。 「日本ではFIT(固定価格買取)制度開始以降にエネルギー分野に関与する国内法律事務所が増えてきましたが、私はそれ以前から縁あってガスやオイル事業に関するプロジェクトに携わる機会に恵まれました。国内に巨大なオイルやガスのプロジェクトは乏しく、基本的にはクロスボーダーの案件で、クライアントとともに取引を作り上げてきました」と村上弁護士は語る。 近年増加している再生可能エネルギーについては、従来の化石燃料分野と比較すると小規模なものが多い。 「化石燃料分野のプロジェクトは、プラントを建設するのみにとどまらず、油田やガス田の権益取得に始まり、発掘・開発・生産する上流、輸送する中流、加工・供給する下流をすべてカバーする巨大事業です。それに比べると再生可能エネルギーは小規模ですが、脱炭素の世界的潮流から今後数が増えていくと予想されます。リスクの観点から見ると、例えば洋上風力はランニングコストと比べて初期投資コストの割合が極めて大きいものの、売電収入が限られるため、予備費が少ない再生可能エネルギー事業においてはコストコントロールが重要になるでしょう」(村上弁護士)。 リスクの算定については、再生可能エネルギー分野はまだ黎明期であり、予測が難しい部分が多いという。 「洋上風力発電事業のリスクについては、いまだ把握しきれない国内事業者が大半だと思います。今はリスクがどの程度かを調査・精査しているところでしょう。5年、10年経って実績が蓄積されて、初めて現在の太陽光発電事業のようにリスクの所在をみなで共有し、言語化できるのではないでしょうか」(村上弁護士)。 単に法律だけでなく、エネルギービジネスそれ自体31 エネルギー分野への深い理解を リーガルアドバイスに活かす

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