28訓を企業に提供していきたいと小島弁護士は語る。 「公正取引委員会が取り扱う案件は、いわば“企業が対応に失敗した案件”です。通常、企業はそうした失敗の経験がないため、他社事例から学ぶことは多くあるでしょう。元公正取引委員会委員として見てきた失敗事例から、回避策をお伝えできる点は多くあるかと思います」(小島弁護士)。 「業務において英語でご相談いただいた場合の対応や、英語文献や資料の確認、レポーティングなどに英語力が活きるところかと思います。また、米国の法制度等についても、切り口を考えつつ今後発信できる機会を持てればと思っています」(山本弁護士)。小島 吉晴弁護士Yoshiharu Ojima81年東京大学法学部卒業。83年東京地方検察庁検事。04〜05年東京地方検察庁特別捜査部副部長。07年東京地方検察庁特別公判部長。10年最高検察庁検事。11年福井地方検察庁検事正。12年公安調査庁次長。15年神戸地方検察庁検事正。16年名古屋地方検察庁検事正。17〜22年公正取引委員会委員。22年池田・染谷法律事務所入所、弁護士登録(第一東京弁護士会)。 訴訟での豊富な経験を 独禁法・消費者法・情報法分野へ 大阪オフィス常駐である山本弁護士は、訴訟のスペシャリストであり、米国の法制度にも明るい。 「独禁法・消費者法については、当事務所は官公庁勤務や出向経験がある人材が多く在籍しているため、制度や運用面での的確なアドバイスをもらい、私の強みとして、“訴訟が関係する案件の見立てやその帰結から逆算して考える”という点で貢献できていると思います。各業務の中で役割分担がうまくできているのではないでしょうか」(山本弁護士)。 米国のロースクールに1年在籍して磨いた英語力は独禁法・消費者法分野でも活きているという。山本 宗治弁護士Muneharu Yamamoto12年京都大学法学部卒業。14年京都大学法科大学院修了。15年弁護士登録(現在、大阪弁護士会)、長島・大野・常松法律事務所入所。22年カリフォルニア大学ロサンゼルス校ロースクール(LL.M.)修了、池田・染谷法律事務所入所。 法令に関する知見と実務経験で 独禁法分野の対応力を強化 2022年に小島弁護士、山本弁護士とともに同事務所に入所した伊藤沙条羅弁護士は、公正取引委員会に6年勤務し、その間に経済産業省の通商法部門への出向も経験した。公正取引委員会では立入検査や事情聴取対応を含む事件審査に携わったほか、独禁法の令和元年改正も担当した。 「キャリアを積みつつ、経験を得るたびにできることが増えていく働き方をしたいと考えていました。前職の経験を活かすのであれば、独禁法のブティックファームである当事務所が最適と考えました」(伊藤弁護士)。 独禁法の令和元年改正に携わった経験は、これまで1947年の成立以来、改正を繰り返してきた独禁法の成立する経緯について知悉することにつながったという。 「独禁法に限らず、法改正をする際には、これまでどのような経緯で法律が成立・改正されてきたかについて詳しく調べて理解しなければなりません。独禁法の解釈にあたりそのような知見が頭に入っていることは、クライアントへのアドバイスに活かせるところです」(伊藤弁護士)。 伊藤弁護士は入所以降、経験の幅が広がるとともに、対応可能な範囲が増えたと感じるという。 「独禁法関係の業務はもちろん、省庁にいた時代
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