Lawyers Guide 2023
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にとって、日本は米国や中国、東南アジアと並ぶ大きなマーケットだ。ロンドンオフィスはそのような企業が日本進出を検討する際に、日本独自の商習慣や法体系を理解し、日本での投資やビジネスを拡大するためのサポートを担う。「グローバル展開する外国依頼者に日本の特徴を理解していただきつつ、日本でのビジネスを拡大していただくことがロンドンオフィスの目的でもあります。また、コロナ禍によるリモートワークの普及で通常業務を行う上で物理的な場所の重要性が相対的に下がりましたが、やはり欧州のクライアントにとって、同じ時差の地域に弁護士がいる安心感は強いと感じます。ロンドンに駐在してから、欧州のクライアントから私の携帯電話に着電することが非常に増えました。そうした意味でも、ロンドンに事務所を開設した意義は大きかったと感じます」(前田弁護士)。 また、世界中のビジネスマンが行き交うロンドンにオフィスがあることは、弁護士同士のネットワークを広げる上でも非常に有用だという。「ロンドンは国際弁護士のネットワーキング集積地です。多数の欧州主要国の主要事務所がロンドンにオフィスを構えていますし、世界中の弁護士がロンドンに頻繁に出張に来ます。50年以上、当事務所が独自に培ってきた世界中のトップファームとの関係をさらに強化することができます。今後、日本企業の各国拠点への進出や各国法のアドバイスにおいて、より一層の利便性を提供できるかと思います」(前田弁護士)。兼ね備えた弁護士が約30名集結し、案件の共有や社内勉強会、セミナーやニュースレターを通じて外部発信といった活動を開始している。 「当事務所はこれまでもゲーム業界およびeスポーツ業界への助言を行ってきましたが、近年、当該業界のクライアントへの助言に加え、これらの業界へ出資等を検討されるクライアントからの法的助言を求めるニーズが高まっているところです。そこで、プロゲーミングチームに所属経験のある宮本康平弁護士を中心にこのような分野を一つの柱としようという経緯で、プラクティスグループを設立しました」と語るのは、加納さやか弁護士。加納弁護士も幼い頃からゲームに親しんできた一人だ。 プラクティスグループ立ち上げの原動力となった元プロゲーマーである宮本弁護士は、現在コーポレートやM&Aを中心にその専門性を高めつつ、eスポーツ・ゲーム法務分野の案件対応や対外発信に努めている。「私は大学院在学中に“ARMS”という格闘ゲームのオンライン対戦をプレイしはじめ、その後ゲームパブリッシャーの公式大会で優勝し、日本で開催された世界大会で5位の成績を収めたところで、プレイヤー仲間から米国での大会出場に誘われました。仲間と出場資金を捻出するためのクラウドファンディングを募っていたところ、日本を本拠地とするプロゲーミングチームであるDeToNatorから声がかかり、プロゲーマーとなりました。チームはその後、ラスベガスで開催された大会で優勝することができました」(宮本弁護士)。 業界のことをよく知る元プロゲーマーである宮本弁護士を窓口に関係者からの相談があることも多い。「外部発信を見たeスポーツ・ゲーム業界の方から、直接私宛にコンタクトをいただき、案件や顧問契約に23前田 敦利弁護士Atsutoshi Maeda98年東京大学法学部卒業。00年弁護士登録(第二東京弁護士会)、アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。04年英国University College London(LL.M.)。05年現Herbert Smith Freehills勤務。08年パートナー。13年シンガポールオフィス代表。22年〜ロンドンオフィス代表。 元プロeスポーツプレイヤー所属の プラクティスグループを設置 アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、2022年6月にeスポーツ・ゲーム法務プラクティスグループを立ち上げた。同分野に興味・関心を持つ、多様な専門性を

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