Lawyers Guide 2023
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ば痛い目をみる」と指摘。「法務としては大量の案件を抱える中で、優先順位をつけることが現実的には必要です。トップダウンの案件なのか、ビジネス部門からボトムアップで持ちかけた案件かで、適切な伴走方法は変える必要があるでしょう」(津田氏)。社内・社外展開の際の論点整理は必須 「案件を社内・社外に展開する際に留意することは」というテーマには、「全体フローのタスク表を整理し、抜け漏れを防止すること」と小宮山氏・津田氏が声を揃えた。 「ビジネス部門や広報などと、法務部門とで重なる業務について“お見合い”が発生し、取りこぼすことがないよう法務側からも出張っていくイメージです」(津田氏)。 「ビジネス側が整理してくれることもありますが、特に債権債務が絡む取引関係と社内の役割分担を、法務担当者も一緒に整理することで権利義務の所在をはっきりさせ、関係者全員がビジネスの全体像を把握することが重要だと思います」(小宮山氏)。 この初期のタスク表の整理は、外部弁護士に効率的に相談・依頼するために必須の要素であるという。 「外部弁護士に渡す最初の依頼メモに、法務担当者として希望する成果物の要件定義を整理できれば、外部弁護士からのレスポンスが非常に早くなります。また、社内での検討の過程や現在の優先順位、その論点に至った背景、除外した選択肢とその理由を添えられればよりよいでしょう。必要があればビジネス部門の担当者も外部弁護士とのミーティングに同席したほうがよい場合もあるかと思います」(津田氏)。 両氏の意見を受けて、日野弁護士も「外部弁護士としては、このとりまとめを行う法務担当者の事案への習熟度を確認しつつ案件を進めています。“法的論点を踏まえた検討や必要となる文書のドラフティングから始められるか”、“契約そのものが初めてで段取りのサポートから提案すべきか”等を必ず確認するようにしていますね」と述べた。※なお、イオン株式会社の津田氏は、本セミナー開催の前月に同社に転職入社した直後であり、本セミナーで話されたエピソードのいかなる部分も、同社の事業または同社での経験に基づくものではないことを留意されたい。“取り扱い注意の案件”がきたときはどうする? 二つ目の事例は、「投資先Yの二代目社長であるZが社内外での評判が悪く、解任したい」とビジネス部門から相談を受けた場合だ。日野弁護士はこうした事案をいわゆる“取り扱い注意の案件”と表現し、直面した場合の対処について尋ねた。 「各社でやり方はさまざまだと思いますが、私なら真っ先に上長にエスカレーションします」と答えたのは津田氏。「後になるほどダメージが大きくなる可能性がある案件なら、状況によっては深夜でも上司の携帯電話を鳴らして報告します。一方で、ある程度状況を整理しなければ、報告を受ける側も反応できない案件もあるでしょう。どちらかを見極める感度と基準を法務担当者が持っておくと、早く走り出せると思います」(津田氏)。 「仮に解任の意思が強い場合は、その後のビジネスの継続性まで考えた上での決断かどうかを確認しなければなりません。その選択が本当にベストな判断であるのか問いかけたり、必要であれば人間関係を駆使して事案のキーパーソンを説得したりする方策まで並行して検討したり、いくつもの道を示す姿勢が必要ではないでしょうか」(小宮山氏)。法務部門に求められること 津田氏は一人法務だった時期、可能な限りビジネスの意思決定の場に陪席できるよう依頼し、難しい場合は議事録を追いかけていたという。「議論が気になった際には担当者に時間をもらいヒアリングをしていました。各社内部署への敬意を持ってビジネス目標を共有し、情報をもらえる関係性を作ることが法務におけるコミュニケーションの本質ではないでしょうか」(津田氏)。 小宮山氏は法務部門の至上命題として、「ビジネスを進めるために、適切な経営判断に必要な材料を揃えることを注力することが重要だと思います」と結んだ。13小宮山 円氏Madoka Komiyamaソフトバンク株式会社事業開発統括ポートフォリオマネジメント本部投資支援統括部投資戦略部 部長代行津田 峻輔氏Shunsuke Tsudaイオン株式会社ブランディング部 担当部長日野 真太郎氏Shintaro Hino弁護士法人北浜法律事務所パートナー弁護士

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