的に納得がいくまで所内での検討を重ねたという。「何を調べてもはっきりしない論点もあり、それは法学的にも実務的にも明確なコンセンサスがない部分です。そこを法的な安定性を担保しつつ改善策を提示するのが難題、かつ、やりがいがありました。ある意味で社会を変えていく仕事だと思います」(桑原弁護士)。 この貴重なひな形を無償で提供する理由には、“苦労して働いた人が報われる仕組みを提供する”という理念があるという。“人を大切にする会社というカルチャーを広めていきたい”という思いは、桑原弁護士の“社会を変えていく仕事”に通じるであろう。家が海外機関投資家よりも不利な状況に置かれているとなると、国民一般の資産形成にも負の影響があるのではないかと懸念しています。日本でも公平なオルタナティブデータの利用が広がるよう、弁護士として“あるべき解釈”を提示しつつ、金融当局にも働きかけていきたいと思います」(小澤弁護士)。 大手上場会社グループ金融機関への出向経験を持つ小林永治弁護士は、金融機関を主な対象としてオルタナティブデータ提供取引における価値創造を進めている。「近年、銀行も、顧客の同意のもとで顧客情報の第三者提供等ができるよう、法改正が行われました。どうしても判断が保守的になりがちな業界ゆえ、その活用は積極的には進んでいないように思いますが、保有する情報の取得や活用について、法的に問題がないことを解きほぐせば、不必要な躊躇をなくして利活用が促進されると思います。その結果、新たなビジネスの創造の一助となることが今後の目標です」(小林弁護士)。 また、小林弁護士は、同事務所が特別会員として参画し、協会内の委員会のアドバイザーも務める一般社団法人金融データ活用推進協会を活動の場として、銀行の情報活用促進を進めていくことを考えているという。 頼もしい若手弁護士らの活躍もめざましい、設立7年目を迎える山下総合法律事務所は、さらなる成長を通じて日本企業の変革をサポートしていく。101■代表弁護士の所属弁護士会東京弁護士会■所属弁護士等弁護士16名・外国弁護士1名(2022年12月現在)■沿革2016年8月設立■過去の主要案件本邦初の上場会社の公開買付け(新株発行・自己株式処分との複合取引)、上場会社の共同持株会社の設立その他のM&A・組織再編取引、国際的な合弁出資案件(アフリカ地域進出/日中の上場企業間取引)、国内・海外両方における上場会社の役職員向け株式報酬の制度設計(本邦初の退任日解除型RSを含む)、スタートアップ企業の株式報酬支援(契約書ひな型無料キット「KIQS」(キックス)の法的監修)など山下 聖志 弁護士Seiji Yamashita オルタナティブデータ活用で 創造的な価値構築を 創造的な分野での旗振り役として活躍するのが、RSの新たなスキームを考案したことでも知られる小澤拓弁護士だ。小澤弁護士は、現在、オルタナティブデータのベストプラクティスの構築に尽力している。「POSデータ、衛星写真、位置情報などは、実は投資の判断材料に活用できます。例えば、政府や公的機関の統計を待つよりもPOSデータを活用すれば早く消費動向を把握できるようになってきていると言われていますし、ある小売店舗への入店者の位置情報を集計すれば、その小売会社の決算公表よりも先に売上が予測できる可能性もあります。こうしたデータが機関投資家を中心に注目を浴びています」(小澤弁護士)。 ところが、欧米に比べ、日本ではオルタナティブデータの普及は進んでいないと言われている。「既存の金融規制はオルタナティブデータを想定しておらず、その利用を妨げている可能性もあるのではないか」というのが、小澤弁護士の懸念だ。小澤弁護士は、業規制の内容と運用の不明確性が国内機関投資家と海外機関投資家との間で不公平な格差を生み出しているのではないかと疑い、この不公平をいかに解消するかに思考を紡ぐ。 「国内機関投資家の背後にいる多くは国内の個人投資家だと思います。国内資本市場で国内機関投資小林 永治 弁護士Eiji Kobayashi小澤 拓 弁護士Hiraku Kozawa桑原 広太郎 弁護士Kotaro KuwabaraDATA
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