Japan Lawyers Guide 2022
91/133

DATA■主な所属弁護士会第一東京弁護士会■所属弁護士等弁護士8名(2021年12月現在)■沿革1983年「阿比留・大橋法律事務所」開設。1990年「岡崎・大橋・前田法律事務所」と改称。2012年「東啓綜合法律事務所」と改称体制が瞬時に変わるような高リスク社会にあって、役員退任後に責任追及された際に説明可能な資料がなければ、反論して身を守ることは難しいのです」(新間弁護士、関谷弁護士)。 「企業は株主の利益を最大限図ることだけを考えるべきであるという考え方が強い時期がしばらく続きましたが、近時はCGやSDGsの議論において、企業を取り巻くさまざまなステークスホルダーや地球環境への影響も考えるべきであるとの議論がなされています。社会通念は時代により変わります。デジタル化、IoT、AIなどの技術により、社会も価値観も一層変化していくと考えられ、従来の法制度が想定していないような問題がますます発生してくるものと考えられます。そのような状況においては、最先端の議論を知ることは必要ですが、法の根底に流れる考え方に遡って考えることも有益です」(村尾弁護士)。 価値観が人の数だけ多様化し、デジタルが高い利便性と引き換えに高リスク社会を作り出したことは間違いない。だからこそ、人間共同体の基本秩序である法を生業とする者が、すべからく同事務所のように成熟した智慧と倫理観を大切にし、顧客企業と社会に対して恭謙で誠実であることを願いたい。「弁護士は、コメント一つ誤れば顧客企業の命運や人の一生まで左右しかねない重大な責任を負う職業です。最良・最高のリーガル・サービスを提供するために、広い視野と高い見識、豊かな想像力と創造力を研鑽することは、常に必要です」(村尾弁護士)。関谷 健太朗 弁護士Kentaro Sekiya風間 智裕 弁護士Tomohiro Kazama千葉 健太郎 弁護士Kentaro Chiba新間 祐一郎 弁護士Yuichiro Shimmaンスをとることは非常に難しく、また、当該組織に属する人の特性を洞察・把握する力なくして優れたCG構築は困難です」(関谷健太朗弁護士)。 問題の本質を真正面から捉え、“中庸”を見極めるために、同事務所の誇るリーガル・マインドはいっそう鋭く研ぎ澄まされる。 物事の“本質”を捉え、誠実に 「DXとは、ただ従前の紙文書を電子化するという意味ではなく、デジタル化によるイノベーションを起こすことが目的であり、紙前提の業務を前提として構築している会社組織をデジタルを前提とした会社組織に転換することになります。例えばシステムによる処理と法務部門による処理をどのように役割分担するかについて、デジタル化を前提に再構築する必要があります。多くの業界においては競争環境は激化する一方であり、大胆なDXが急務であることも事実です。ただ、今までは人が介在していたために問題とはならなかったことがDXにより問題となることもありえますし、DXは、就業環境の変化だけでなく、働きがいや生きがいにも影響を与えるかもしれません。ゆっくり急げ(Festina lente)、という考え方も参考になるでしょう」(村尾弁護士)。 「多様化する社会において、自社の常識と世間の基準にギャップが生まれ問題化するケースが増加しているように感じます。不正・不祥事の原因として“企業風土”が頻繁に指摘されますが、日本独特の“空気を読む文化”が内部者の社会感覚を麻痺させてしまう面があるように思います。CGシステムの構築・刷新を進めるにあたっては、二つの点が重要と考えています。一つは、諸策の導入・非導入の理由について、組織の常識にとらわれず、株主のみならず広く第三者に説明することが可能であり、その手続も検証可能な透明性のあるものであること。もう一つは、意思決定のプロセスを記録に残しておくこと。経営

元のページ  ../index.html#91

このブックを見る