Japan Lawyers Guide 2022
7/133

斉藤:企業において法務がカバーすべき職域が多くなっています。まだまだインハウスロイヤーの活躍の場は広がるのでしょうか。活動に携わる例が増えてきたことです。時代の変化に伴い、新たなビジネスアイデアが生まれるにしたがって、既存のルールや枠組みが新規ビジネスの障壁となることがあります。それを取り除くために、インハウスロイヤーを中心としたチームが、監督官庁などに積極的にアプローチして、規制緩和を実現する例も出てきています。弁護士は法律の解釈について研鑽を積んでいますから、監督官庁との交渉に向いているのではないでしょうか。榊原弁護士:以前は“インハウスロイヤー”といえば、純粋に法律についての回答をするだけのイメージがあったと思います。いま企業内で弁護士が対応すべき業務内容と比較すると隔世の感がありますね。チャレンジする意欲のある方には選択肢が多い状況だと思います。企業内でカバーすべき分野の拡大に合わせ、インハウスロイヤーの数は右肩上がりで増加しています。また、官公庁に出向する弁護士もJILAに入会しており、こちらも増加傾向にあります。ほかにも先端領域やSDGs、リスクマネジメントなど新たにキャッチアップすべき知見はどんどん広がっています。弁護士は基本的に勉強好きの方が多いので業務分野の広がりは歓迎すべき点ではないでしょうか。ロースクールの学生に講義する際にはこんなにおもしろい仕事はないと説明しています。平泉弁護士:まったく同感です。インハウスロイヤーが所属する部署は、法務だけではなく、コンプライアンス、知的財産、リスクマネジメント、内部監査など、多岐にわたります。また、先程申し上げたロビイング活動などのほかにも、経営戦略、事業開発に関わるなど、インハウスロイヤーが活躍できる分野がどんどん広がっています。斉藤:経営トップの意識も変わってきたということでしょうか。榊原弁護士:変わってきたと思います。その背景としては、コーポレートガバナンス・コードや非財務情報開示が求められるなどのグローバルな流れと、それを受けた日本社会一般に対する影響は大きいでしょう。経営者が投資家に説明を行う際に、ガバナンスを無視することができない時代です。専門化・多様化するインハウスのキャリア

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る