Japan Lawyers Guide 2022
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DATA■所属弁護士等弁護士633名(2021年12月現在)■沿革1971年設立欧州をはじめとする主要な法域のいずれにおいても、当局元高官を含む通商法分野で最高峰の弁護士を擁する事務所との親密な関係を維持しています。日本企業から海外の法律事務所に直接依頼をする際に適切な事務所を紹介するという関与の仕方ももちろんありますが、通商法分野においては、法務部で経験を有する方が限られていたり、関連する法令が極めてテクニカルであったりすることも多いことから、常時多数の案件を取り扱っている当事務所が情報把握のハブないし司令塔的な役割を引き受けることで、結果としてより効率的かつ迅速な対応が可能になることも多い印象です」(高宮弁護士)。主とする法律事務所も母体の一つとなっているという歴史的経緯もあり、大企業から中小企業まで幅広い日本企業と関係性を築き、通商法に関しても、規模も種類もさまざまなご相談を受けています。例えば、近時では社内ネットワークに米国の国防権限法の規律対象となる製品を使っている可能性があるがどう対応すべきかという相談を受けることがあるのですが、似たような状況にある他社がどのような対応をしているかという観点から実務的な助言をお伝えできる点は当事務所の強みかと思います」(高宮弁護士)。 「各国法が真っ向から矛盾する場面も増える中、単に情報を集めてくるだけではアドバイスの意味がありません。矛盾する国際的な法秩序の中で日本企業がどう対応するか、どのように日本の会社として役員の善管注意義務を果たしていくべきかをアドバイスできるのは日本の法律事務所だけです」と話すのは梅津弁護士。 同事務所は経済安全保障問題がクローズアップされる以前から、政府の安全保障貿易管理の関連部署に法律事務所として初めて弁護士を出向させ、法の整備と解釈・運用の発展への貢献に務めている。 「判断は非常に難しくはありますが、さまざまな材料を集めるだけでなく、それをどう料理するかまでがサービスの付加価値だということを明確に意識してアドバイスできる事務所でありたいですね」(梅津弁護士)。 矛盾する秩序の中で日本企業が 変化・対応するための判断と助言を 日夜変化する通商法分野に対し、日本企業の体制にも変化が求められると語るのは石本弁護士。 「例えば、伝統的に輸出管理は専門の輸出管理部門に任されており、法務部門と必ずしも密な連携がなされていない企業も見られました。しかし、各国の規制が複雑化する中、通商法の問題は垣根を取り払って連携する必要があります。企業によっては既に法務部が輸出管理も監督したり、輸出管理部の上部組織として経済安全保障に対応する特別な部署を創設したりするなど対応を進めていますが、こうした流れはさらに加速するでしょう」(石本弁護士)。 国内最大規模の法律事務所として、対応事例を豊富に蓄積できている点も、クライアントに有益なアドバイスを提供できるポイントだという。 「当事務所はもともと渉外法務ではなく国内法務を

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