Japan Lawyers Guide 2022
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URLhttps://www.mhmjapan.com/ja/E-mail 2017年のトランプ政権誕生後、米中による追加関税の応酬に始まった米中対立は、その後、重要技術分野における自国産業の優位性維持や自律性確保を含む経済安全保障に拡大した。さらに、ミャンマーやウイグルにおける人権問題への関心の高まりも背景に、バイデン政権下の米国を筆頭に欧米諸国で人権を理由とする規制強化が続いている。一方の中国も、2021年6月に反外国制裁法を施行し、外国の差別的な制限措置に対し、中国が相応の対抗措置をとることを規定した。WTO協定を中心とする伝統的な通商法は、自由で無差別な貿易を根本原則とするが、安全保障や人権の観点から特定国を狙い撃ちにした措置が増加することで通商法の“例外”が拡大し、日本企業にとってもリスクや不確実性が急激に高まっているのだという。 中国法務に20年以上関与し、アジアの取引・通商問題に取り組んできた石本茂彦弁護士は「2022年は中国の反応が非常に重要になるでしょう。欧米へのmhm_info@mhm-global.com〒100-8222 東京都千代田区丸の内2-6-1 丸の内パークビルディング16階 【TEL】 03-5220-1800 経済安全保障や人権の観点からの 規制強化で リスク・不確実性が拡大 企業活動やサプライチェーンのグローバル化に対応するため、通商法に通じた専門家を多数擁する森・濱田松本法律事務所。“通商法の最高裁”とも言われるWTO(世界貿易機関)上級委員会で日本人初の法務官を務めた宮岡邦生弁護士をはじめ、経済産業省や外務省などにも積極的に人材を送り出し、WTO協定やTPP(環太平洋パートナーシップ)協定など国際ルールの整備・運用にも積極的に関与してきた。このいわゆる伝統的な“通商法”に対し、近年注目が増しているテーマが米中対立などを背景とした経済安全保障や人権の問題だ。 宮岡弁護士はこの状況について「これまでの通商法がボクシングのリング上での闘いだとすると、現在の状況には半ば場外乱闘的な側面もある」と表現する。森・濱田松本法律事務所

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