Japan Lawyers Guide 2022
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DATA■所属弁護士等パートナー21名、オフカウンセル3名、アソシエイト29名、アドバイザー1名、フォーリンアトニー2名(2021年12月現在)■沿革1989年4月に、現在のネーミングパートナーである3名の弁護士を中心に発足億ドルの投資を行うと発表して話題になったメタバース…。テクノロジーが進化する速度はどんどん加速し、いまや最新のトピックが1年も経たず時代遅れになってしまうような状況だ。そうした中で、先端技術を使ったビジネスの勘所を、弁護士が真の意味で理解することは決して簡単なことではない。 同事務所でそれが可能になるのは、各弁護士の能力はもちろん、すべての弁護士に共通する“依頼者に粘り強く寄り添う”という姿勢に加え、弁護士がチームを組んでテクノロジー関連をはじめとする分野で、まさに日本最先端の案件で経験を積み上げ続けていることである。 日本では、ムーンショット型研究開発事業として“2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から開放された社会を実現する”ことが一つの目標とされる。簡単に言えば、人が頭で考えるだけでバーチャルな世界のアバターを通じてコミュニケーションをしたり、遠く離れた場所のロボットを動かせるようになるという、今から見ればSFのような世界を実現するための研究だ。 「最先端の技術を使ったプロジェクトにおいて、法的・倫理的にどこまでが限界となるのかという指針を示すことが必須です。私もチームに入って、法や倫理の側面からサポートをしています」。そう話す松尾弁護士は、これまでも数々の最先端分野の研究開発や事業化に関わってきた。 「海外留学から戻って事務所に復帰した2016年以降、情報法を中心に最先端案件のご依頼を多くいただきました。その中で、当事務所として、AI・AR・MR・VR(メタバース、Vtuber等)、eSports、リーガルテック、ODR(オンライン紛争解決)等、誰も考えたことのない事案について、ビジネスモデルのアドバイスや契約書のドラフトやレビューを行う仕組みが整いました」(松尾弁護士)。 特に情報関係の法制度や実務は、それそのものがクライアントのビジネスの前進や後退を決める大きな要因となるケースが多い。そこで同事務所では、大規模な個人情報保護法違反事件における個人情報保護委員会との折衝や最先端のビジネスモデルを有する企業のグレーゾーン解消制度利用のサポート、AI企業の上場を支援する意見書の作成等の、予防法務から事後対応までクライアント企業を幅広くサポート。巨額の身代金の要求に企業が悩まされる事件が多発するランサムウェア攻撃への対応については、2021年の情報ネットワーク学会で、松尾弁護士が豊富な経験に基づく実務対応の発表も行っている。 「最新の問題でも、別の問題に関する過去の議論が応用できることは多く、徹底的なリサーチを基に、この部分はこの議論を応用することができる等、という判断をしてアドバイスをし、もし古い法律が新しいビジネスを阻害していれば、法改正等を含む公共政策法務対応を行う等、当事務所ならではの強みを活かして最先端の問題に対応しています。私たち弁護士が最先端のよい仕事をできるのも依頼者があってこそ。可能な範囲でプロダクトやモックアップ等に実際に触れさせてもらい、依頼者と目線を合わせながらクライアントファーストで対応をしています」(松尾弁護士)。塩川 真紀弁護士Maki Shiokawa10年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。12年慶應義塾大学法科大学院卒業。13年弁護士登録(第一東京弁護士会)。14年桃尾・松尾・難波法律事務所入所。18年ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン卒業(LL.M.)。19年Cleary Gottlieb Steen & Hamilton LLP(ロンドン)勤務。20年Trowers & Hamlins LLP勤務。

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