Japan Lawyers Guide 2022
60/133

渉も重要になっています。また、特にSaaS関連領域のM&Aでは、クラウドに保存された個人情報の取扱主体など、複雑な個人情報の問題が絡む場合も多く、また、依頼者が海外の場合は、最近の外為法改正による海外法人からの出資規制などが論点になるケースもあります。そうした最新の専門的な知見が必要な分野については、例えば独禁法関連なら杉本亘雄弁護士、個人情報なら松尾剛行弁護士というように、高い専門性を持つ弁護士とチームを組みながら対応します。若手パートナーを中心とした弁護士同士が連携し、柔軟な体制でサービスをご提供できるのも、当事務所の強みだと思います」。そう話す山田洋平弁護士自身も、会社法やM&A、紛争解決などの分野で強みを持つ。企業の海外でのビジネスについても、幅広くスピーディにサポートできる体制ができています」(杉本弁護士)。 デジタル市場における巨大プラットフォーマーによる寡占の問題をはじめ、各国での規制強化の動きが注視される独占禁止法・競争法の分野でも、同事務所では、的確にアドバイスできる体制が整っており、2019年には公正取引委員会で事務総局審査局長を務めた南部利之氏をアドバイザーに迎えるなど、その陣容を更に充実させている。 特にテック企業をめぐる近年のM&Aの傾向について、杉本弁護士は「依頼者や対象会社の置かれた状況などについて、より深く理解することが重要になっています」と語る。「例えば企業結合審査について言えば、売上だけを見ると合併等の届出要件にかからないものの、重要なデータや技術を持っていたために公正取引委員会が審査を行うなど、イレギュラーな案件も出てきています。また、特に新たなテクノロジーを使ったビジネスでは、その競争力や成長力の源泉がどこにあるのかが外からは見えづらく、真の法的問題点に簡単には気付けないことも多いのではないかと思います。そうした点では、当事務所は、依頼者と綿密にコミュニケーションをとる中で、対象会社の行うビジネスの真の価値や、依頼者が抱える問題意識をしっかりと理解した上で、法律問題を検討していくことを大切にしています」。山田 洋平 弁護士Yohei Yamada05年東京大学法学部卒業。06年弁護士登録(第一東京弁護士会)、桃尾・松尾・難波法律事務所入所。11年コロンビア大学ロースクール卒業(LL.M.)、Davis Polk & Wardwell LLP(ニューヨーク)勤務。12年ニューヨーク州弁護士登録。16年桃尾・松尾・難波法律事務所パートナー就任。 さまざまな法や規制が絡み合うからこそ より依頼者の真意を汲んだ対応が必要 「当事務所では、日本企業が海外企業を買収する際のデューデリジェンスや交渉をサポートすることもよくあります。特に新しいテクノロジーの分野では、必ずと言っていいほど事業活動が何らかの形で海外に及んでいるため、日本企業同士のM&Aであっても、海外の規制にかかってくるようなケースも少なくありません。そうした場合は、最新の海外の法規制のリサーチや、海外規制当局の動向を踏まえたアドバイスも必要になるため、当事務所では弁護士同士の定期的な情報交換会を行うなど、国内外の最新の情報をキャッチアップすることも大切にしています。また、クロスボーダーな案件ではINTERLAWのネットワークも大いに役に立っており、何か相談をすると世界各地域の弁護士が迅速に答えを返してくれるなど、新しいテクノロジー関連やM&Aを含め、日本松尾 剛行弁護士Takayuki Matsuo06年東京大学法学部卒業。07年弁護士登録(第一東京弁護士会)、桃尾・松尾・難波法律事務所入所。13年ハーバード大学ロースクール卒業(LL.M.)。14年ニューヨーク州弁護士登録。15年中国北京大学ロースクール卒業。18年~慶應義塾大学非常勤講師。19年桃尾・松尾・難波法律事務所パートナー就任。20年北京大学博士(法学)。 誰も考えたことのない未知なる領域で ビジネスを前進させるために アフターコロナを見据え、最近も国内外で、画期的なプロダクトやサービスが続々と登場している。ITやICT、AIにVR、さらにはFacebookが約100

元のページ  ../index.html#60

このブックを見る